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ネズミ捕りとゲームと部下

 藤の頭に固い感触があてられた。


「・・・・・・・・・藤君ですよね?」

「一応、有名人だしね。」


 監視室、藤に銃口を突き付けているのは騒動にじょうじて抜け出した半崎だった。


「やめときなよ、うちのマネージャー怖いから。」

「大丈夫です。対した問題ではありませんので。

 ただ、何をされているのかと思いまして。」

「さぁ?何でしょう?」

「ゆっくりとパソコンをこちらに向けなさい。」


 藤の手がパソコンに触れた時だった。


「そこまでだ。銃を下ろせ。」


 さらに今度は半崎に銃口が向けられた。

 開いた扉から姿を現したのは、制服姿の男達。


「警察だ!大人しく銃を捨てろ!」


 まだ年若い警察が声を張り上げた。

 半崎はやれやれといった顔をして、銃を床に置いた。


「そこのお前も立て!パソコンをこちらに向けろ!」


 藤も指示通り立ち上がって、画面を彼らに向けた。

 だが、そこには、


「ゲーム?」

「ここ、ネット回線生きてるからオンラインゲームやってたんですよ。」


 余裕の笑みを浮かべた藤は半崎を見た。


 “俺は無関係です。”


 という意味を込めて。

 そして、半崎もまたなんともいえない笑みを浮かべていたのだ。


「なんでこんな所でゲームなんかやってるんだ!?」

「いや、マネージャー待ってるんですけど…。」

「マネージャー?」

「ここで待ってろって言われて。」

「……………あ、ふ、ふ、藤くん!?」

「あ、はい。」


 急にあの藤という事に気づき、あわてふためく警察ににっこりと営業スマイルを見せる藤。


「あー、すまない。通してもらえるか?」


 部屋の外から声がし、そして、ひょこっと朱鷺が顔を出した。

 彼女の服は作業服から普段着に変わっていたのだ。


「迎えに来た。」

「遅いよ、マネージャー。」

「すまんな、迷子をようやく見つけたものでな。」


 後ろから迷子扱いの三人も姿を現した。


「貴女がマネージャーですか?」

「そうです、最氷プロダクションの荒方と申します。」


 丁寧な言葉遣いで名刺をさっと差し出した。


「何やら、大変な事態だとは存じておりますが、

 私は彼らを安全な場所まで送り届ける役目がございます。

 申し訳ありませんが、詳しい話は後日でお願い出来ないでしょうか?

 こちらも、事務所トップクラスの人間を連れておりますので…。」

「しかし…。」

「もちろん、逃げも隠れも致しません。うちの最氷からもご連絡をいたします。」


 警察はちらりと半崎を見た。

 まだ山ほどしなければならない事があるのだ。

 全組員の確保が最優先である。

 そう確信した警察は、深く頷いた。


「よし、ならばここは行っていい。」

「有難うございます。」


 お礼を言って、彼らはさっさと去って行った。


 その姿が見えなくなったのを確認し、警官は銃を下ろした。


「どうぞ、こちらに。」


警官は半崎を丁寧に誘導する。

彼が部屋から出た途端、脱いだ上着と入れ代わりに警察の制服が手渡され、

半崎はしなやかに着替えた。


「首尾は?」

「あっちの広間でワイヤーでがんじがらめになってたので、全員確保しています・・・・・・一体、何が?」

「気にするな。とにかく、誰一人として逃すな。今回をもってこの組を壊滅させるんだ。」

「はい!」

「半崎ぃ!!」


 一人、男が逃れてきたようだ。

 彼はナイフを構えて半崎に飛び込んだ。

 だがあっさりと彼は男を投げ飛ばした。

 すぐに他の警官に捕らえられ、連れて行かれた。


「………今度、潜入する時は部下の名前を使うのはやめて下さいね、繁牙(しげが)警部。」

「覚えやすくていいだろう?“半崎”。」


 半崎改め、繁牙はにやりと笑い出口に向かって颯爽と歩いて行く。

 警察の男改め、半崎は溜息をついてその後を追ったのだ。


「そういえば、半崎。お前は別の場所で待機していたはずだろう?」

「何言ってんですか。全部の組がこっちに移動したんですよ?全くどうなってんだか。」

「組員が“取引相手が場所を変更した”と言っていた。」

「そんな簡単に変更しますか!?」

「・・・・・・・・・見当はついてる。どうせ奴の差し金だ。」

「奴?ですか?」


繁牙はふんと笑うと周りにいた警官たちに帰還の指示を出したのだった。

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