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第7話

アイナが中庭から走り去って、少したった後、ユウナは目を開ける。


男子生徒が通り過ぎる辺りから、すでに眼はさめていた。

でも、とりあえず目は瞑ったままにしていた。


きっとアイナは今の自分をユウナに見られたくないと思っているだろう。


隣にいるのもそうだけど、生まれた時から一緒にいるアイナのこと。


見なくても聴かなくても分かる。


ユウナはアイナがきっと試験で失敗してしまったと分かっている。


アリーナで一人座り込んでいたアイナを見てユウナは泣きそうになってしまったが、笑う事にした。

ユウナが笑っていればアイナも笑ってくれるはずだから。


ユウナはアイナの笑顔が大好きだった。


安心させるように笑いかける笑顔も、困ったように浮かべる笑顔も、見守るように優しい笑顔も大好きだった。


しかし、ここ一カ月くらいアイナは無理に笑っていた。


ユウナはアイナの笑った顔は好きだったけどあの笑顔は好きになれない。


まるでアイナ自身がアイナ自身を嫌っているように見えるから。


ユウナはユウナが好きな世界を守りたい。


アイナが泣いているところは見たくない。


(そうだ。おねえちゃんはわたしが守らないと……)


そのため、ユウナなりに勉強もがんばったし、魔法もがんばった。


まだまだがんばらなきゃいけない事は多い。


「……まだまだだね」


小さく呟く。


空を見上げる。太陽はまだ真上にある。柔らかい風が吹いている。


ユウナは自分の努力はまだ足りないと思っている。


2つのカリキュラムを終えたがまだユウナの目標には届かない。


そのためにもより一層頑張らねば。


傍らにあるお弁当を片づける。


決意を新たにして、ベンチから立ち上がる。


そして、


(ひとまずは……)


不気味な笑みを浮かべ、女生徒2人が去って行った方へと歩いて行った。



その日、噂話をしていた2人の女生徒は中庭を通り過ぎたあたりから原因不明の不幸が連続して起こった。

強風が吹いてスカートが大きくまくれて男子達に下着を見られたり、使用した水道が壊れびしょ濡れになったり、床になぜか氷が張っていて転んだりと散々な一日になった。



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