表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が双極性障害?!  作者: かかとにハイヒール
2/11

自殺願望


第2章 :沈黙の朝

目が覚めた瞬間、世界は重かった。カーテンの隙間から漏れる光がいつもより鈍く、灰色に見える。布団の中で体を動かすのも億劫で、手足がまるで鉛に変わったかのように重い。息を吸うだけでも胸の奥が圧迫される感覚。頭の中は静寂ではなく、ぐるぐると考えが絡み合い、出口のない迷路の中にいるようだった。

時計の針が動く音だけが響く。いつもなら朝の光や鳥の声に心が少し弾むはずなのに、今日は何も感じられない。布団の中で目を閉じ、目の前の現実から目を背けるしかなかった。「今日も動けない、何もできない」と、暗い声が心の中で繰り返す。

体を起こそうとするが、腕が言うことを聞かない。布団から出る勇気もなく、ただ布団の中で縮こまる。視界にはスマホが転がっているが、画面を見ようとする気力もない。通知の光や音さえ、胸の奥の圧迫感を強めるだけだ。

昨日の自分は元気で、仕事も絵も捗り、世界が明るく見えていた。なのに今日は、この沈黙と重さに押し潰されそうだ。自分の感情が、まるで制御不能なものに操られているように思えた。「自分は本当におかしいのか」「どうしてこんなに生きづらいのか」と、問いは頭の中をぐるぐる回る。

台所まで歩くのも一苦労だった。冷蔵庫の扉を開ける力も、手元の食材を手に取る力も湧かない。朝食の準備も、洗顔も、服を着替えることすら、まるで遠い世界の出来事のように思えた。普段なら当たり前にできることが、今日はまるでできない。世界が私に背を向けているように感じられ、孤独感が胸を締め付ける。

夫が仕事に出かける気配が聞こえる。ドアが開き、靴の音が遠ざかる。彼の存在は、普段なら心の支えになるはずなのに、今日はその存在すら遠く感じられる。声をかけられても反応する気力はなく、ただ布団の中で自分を小さく抱きしめるしかない。

スマホの電源を入れる。画面には昨日の通知が残っている。返信しなければならないメールも、今日のスケジュールも、手元に迫る仕事もすべてが重く、意味を失っている。指を動かすことすらできず、ただ画面を見つめる。文字や画像は、脳に届かず、ただ視覚情報として流れるだけだ。

思考は深く沈み、心の中で暗い声が繰り返す。「もう生きていくのは無理かもしれない」「どうせ私は何もできない」「消えてしまいたい」――小さな声が、だんだん大きくなり、布団の中で震える心に広がる。頭の中で理性的な声が「そんなことを考えるな」と囁くが、感情はそれに逆らい、深い孤独の底に沈んでいく。

時間はただ過ぎていく。朝日が窓から差し込み、街の音が聞こえても、胸の重さは少しも和らがない。食欲もなく、水も口にできず、体が動かない。存在するだけで精一杯。生きている意味さえ見えなくなる瞬間。私は布団の中で、何もできず、ただ息を潜めて朝の沈黙に身を委ねる。

夜のことを考えるとさらに恐怖が広がる。明日も同じように起き上がれないのではないか。自分がこの波から逃れられないのではないか。体と心が分離している感覚に襲われ、世界と自分の距離がどんどん広がっていく。誰かの助けも、温かい言葉も届かない。孤独は私を締め付け、胸の奥で「消えたい」という思いが静かに、しかし確実に大きくなる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ