第九話 ###「二人で、もう一度」
出撃サイレンが鳴ったとき、
アリアは迷わなかった。
「月白リリィ、復帰を許可する」
教官の声は厳しい。
「ただし、天城アリアと同時行動。
単独行動は禁止」
リリィは、アリアを見る。
「……大丈夫?」
アリアは、はっきり頷いた。
「一人にしません」
その言葉に、
リリィは小さく笑った。
戦場へ
今回の任務は、
前回と同じ市街地。
崩れた建物。
まだ残る焦げ跡。
(ここで、終わらせる)
二人は並んで歩く。
距離は、
触れそうなほど近い。
ノクス再来
「来る!」
闇が蠢き、
中型ノクスが姿を現す。
「アリア、後ろは私が見る」
「先輩、前をお願いします」
自然に役割が噛み合う。
槍と双剣。
星と月。
互いの呼吸が、
手に取るようにわかる。
完全な共鳴
「今……来ます!」
アリアの声と同時に、
リリィが踏み込む。
「了解!」
刃と光が重なり合う。
共鳴率――
限界突破。
世界が、静止したように感じた。
決着
ノクスの核が露出する。
「一緒に!」
「はい!」
アリアの槍が、
星のように輝く。
リリィの双剣が、
月光を纏う。
二つの光が交わり――
閃光。
ノクスは、
音もなく崩れ落ちた。
勝利の余韻
静寂。
「……終わった」
リリィが息を吐く。
アリアは、
その場に座り込んだ。
「怖かったです」
「私も」
二人は、顔を見合わせる。
そして、
小さく笑った。
帰還
学院へ戻る輸送車内。
「アリア」
「はい?」
「……ありがとう」
「こちらこそです」
言葉は短い。
でも、充分だった。
夜の屋上
任務後、
二人は屋上にいた。
同じ星空。
「次も……隣でいい?」
リリィの問い。
アリアは、
少し照れて答える。
「ずっと、です」
星空の下、
二人は並んで立っていた。
――これは、始まりの再出撃。




