第二部 第8話 ###「世界の反発」
1.帰還報告
作戦終了。
生存率――
想定値の三倍。
管制室に、
静かな動揺が広がる。
「奇跡では、
説明できない」
「だが、
規定違反だ」
アリアの名前が、
記録に赤く表示される。
2.呼び出し
白い会議室。
無機質な光。
アリアは、
一人で立っていた。
「天城アリア」
「あなたは、
命令系統を
無視しましたね」
3.罪状
・単独判断による行動
・未許可の共鳴拡張
・部隊誘導の越権
淡々と、
読み上げられる。
「結果が良くても、
許されない」
4.アリアの答え
「……はい」
小さく、
しかしはっきり。
「でも、
あの人たちは
生きています」
視線は、
逸らさない。
5.“支援型”への拒絶
「戦場に
“祈り”は不要だ」
「刃だけで、
十分だ」
誰かが、
そう言い切る。
「感情は、
事故を生む」
6.リリィの介入
扉が、
開く。
「異議があります」
月白リリィ。
傷の残るまま、
前に出る。
「彼女がいなければ、
私は――」
言葉を、
飲み込む。
7.対立
「エース候補が
感情論を?」
「冷静さを
失いましたか」
リリィの拳が、
震える。
だが――
声は、冷たい。
「冷静です」
「だから、
言います」
8.証明
「彼女は、
命令を壊した」
「でも――
戦線は崩れなかった」
「むしろ、
繋がった」
沈黙。
9.裁定
「天城アリア」
「あなたの
星槍は――」
一拍。
「封印検討」
部屋の空気が、
凍る。
10.夜の屋上
風が、
冷たい。
アリアは、
星槍を抱えていた。
「……ごめんなさい」
誰にともなく。
11.隣に立つ影
「謝るな」
リリィが、
隣に来る。
「あなたは、
間違ってない」
星槍が、
微かに光る。
12.決意
「もし……
使えなくなったら?」
アリアの問い。
リリィは、
迷わない。
「それでも、
守る」
「あなたを」
ラスト
夜空。
星は、
静かだ。
だが――
世界は、
動き始めている。
祈りを拒む世界と、
祈りを信じる少女。
その対立は、
もう避けられない。




