第二部 第6話 ###「壊れた選択」
1.命令
管制室。
沈黙を破る、
冷たい声。
「救助対象――
月白リリィ」
「第三区を
最優先とする」
誰も、
反論しない。
2.切り捨て
「第七区は……?」
誰かが、
小さく問う。
「……撤退命令」
それは、
見捨てるという意味だった。
3.聞こえた言葉
第七区。
瓦礫の中。
アリアの端末に、
断片的な通信。
《……撤退……》
《……救助不可……》
アリアは、
息を止めた。
4.選ばれなかった者たち
周囲には、
怯える部隊〈セレナ〉。
血に染まった地面。
(また……
選ばれない)
その言葉が、
胸を刺す。
5.星槍の問い
《ルミナス・ノート》が、
微かに震える。
――従うか。
――選ぶか。
アリアは、
歯を食いしばる。
6.反逆
「……私が、
やります」
通信を開く。
「天城アリア」
「撤退命令、
拒否します」
管制室が、
凍りつく。
7.宣言
「ここにいる人たちは、
“救助不可”じゃない」
「まだ、
生きてます」
声は、
震えない。
8.強制遮断
「命令違反を確認」
「星槍制御、
完全遮断を――」
その瞬間。
星槍が、
強く光った。
9.再共鳴
刃ではない。
壁でもない。
繋ぐ光。
部隊〈セレナ〉全員に、
温かさが行き渡る。
恐怖が、
止まる。
10.選ばれなかった祈り
「……動ける」
「痛くない……」
小さな声が、
重なる。
アリアは、
立ち上がる。
11.同時刻――第三区
リリィの視界に、
光が差す。
(……来た?)
違う。
だが――
知っている温度。
「……アリア」
ラスト
管制室。
計測不能の数値。
「共鳴遮断、
無効化……?」
誰かが、
呟く。
戦場では。
命令よりも、
恐怖よりも。
一人の祈りが、
選択を壊した。




