第二部 第2話 ###「離れた祈り」
1.初任務
薄曇りの空。
新部隊〈セレナ〉の面々は、
緊張した面持ちで立っていた。
「……私が支援します」
アリアの声は、
静かだが迷いはない。
星槍が、
淡く応える。
2.不安定な前線
ノクス出現。
数は少ない。
だが――
動きが速い。
「っ……!」
模倣型の一人が、
転倒する。
3.間に立つ光
アリアは、
星槍を地面に突き立てた。
「大丈夫!」
円環の光が広がる。
攻撃は、
届かない。
恐怖だけが、
静かに溶けていく。
4.“守られる”経験
「……生きてる」
息を切らしながら、
少女が呟く。
剣を振れなかった自分を、
初めて責めなかった。
5.勝利の形
ノクスは、
倒されるのではなく
退いた。
戦闘終了。
「……これで、
いいんですよね?」
誰かが、
恐る恐る聞く。
アリアは、
微笑んだ。
「はい。
今日は、これで」
6.報告
基地。
「被害ゼロ」
「……だが、
殲滅はできていない」
上層部の評価は、
曖昧だった。
アリアは、
何も言わない。
7.前線の現実
一方。
別エリア。
リリィは、
孤立していた。
「支援要請、
応答なし!」
通信が、
ノイズに沈む。
(アリア……)
8.限界
連戦。
双剣が、
重い。
「くっ……!」
肩を、
掠める一撃。
血。
(……遅い)
9.遠くの共鳴
その瞬間。
微かな温度。
(……来た?)
いや――
距離が、
遠すぎる。
10.戻らない声
基地。
アリアは、
通信端末を握る。
繋がらない。
(先輩……)
星槍が、
震える。
11.祈りの方向
アリアは、
目を閉じた。
(届かなくても)
(私は、
祈る)
光が、
微かに空へ伸びる。
ラスト
夜。
リリィは、
膝をついた。
「……間に合わなかったな」
その時。
遅れて届く、
温かな感触。
「……アリア」
祈りは、
離れても消えない。
だが――
遅れは、
傷になる。




