第27話 ###「不完全な共鳴」
1.出撃
夜明け前。
空は、
まだ色を持たない。
「対象は、
都市外縁部に出現」
「共鳴波形、
安定せず!」
管制の声が、
緊張を孕む。
2.異質なノクス
霧の中から、
現れた影。
それは――
ノクス。
だが、
形が定まらない。
無数の腕、
重なり合う声。
「……叫んでる」
アリアが、
息を詰める。
3.拒絶と渇望
《ルミナス・ノート》が、
激しく震える。
(近づくな)
(でも、救って)
相反する感情が、
流れ込む。
「アリア!」
リリィの声。
4.歪む祈り
アリアは、
槍を構えた。
「……助けたい」
その瞬間。
共鳴率、
急上昇。
だが――
制御不能。
5.暴走
星槍が、
白く眩く輝く。
光は、
癒やしではなく
“引き寄せる力”。
ノクスが、
悲鳴を上げて
膨張する。
6.止める手
「やめろ!」
リリィが、
前に出る。
双剣が、
光を切り裂く。
「それは、
救いじゃない!」
7.心の衝突
「でも……!」
アリアの声が、
震える。
「この子たち、
選ばれなかったんです!」
涙が、
視界を滲ませる。
8.真実
リリィは、
叫ぶ。
「だからこそだ!」
「今のお前は、
“選ぶ側”になってる!」
その言葉が、
深く刺さる。
9.断ち切る決断
リリィは、
双剣を交差させる。
「私が、
止める」
アリアを守るため。
ノクスを斬るため。
「……先輩」
10.共鳴の再定義
アリアは、
深く息を吸う。
「……一緒に」
「選ばないで、
向き合う」
星槍を、
下ろす。
共鳴率、
急落。
だが――
安定。
11.消滅
リリィの一撃。
ノクスは、
静かに崩れ落ちる。
最後に、
微かな声。
「……ありがとう」
ラスト
戦場の跡。
アリアは、
膝をつく。
「私……
間違えました」
リリィは、
そっと頭に手を置く。
「間違えたから、
進める」
朝日が、
昇る。
不完全な共鳴は、
終わらない。
だが――
二人は、
同じ速度で歩いていた。




