第26話 ###「選ばれなかった者たち」
1.記録室
薄暗い地下記録室。
埃の匂いと、
時間の重み。
「……ここに、
全員分の記録がある」
リリィが、
端末を起動する。
アリアは、
息を呑んだ。
2.適性“不合格”
画面に並ぶ、
無数の名前。
赤文字。
《星槍適性:不合格》
「こんなに……」
アリアの声が、
震える。
「表に出ないだけだ」
リリィは、
淡々と答えた。
3.消された未来
映像が再生される。
笑顔の少女。
訓練に励む姿。
数週間後――
ベッドに横たわる姿。
「精神乖離」
「共鳴拒絶反応」
「……退役」
短い報告で、
人生が終わる。
4.模倣型の真実
「模倣型ペアは、
その“残り火”だ」
リリィの声が低くなる。
「選ばれなかった者に、
もう一度戦わせるための……」
言葉が、
続かない。
5.アリアの問い
「……それでも」
アリアは、
画面を見つめたまま言う。
「戦いたいって、
思う人もいますよね」
リリィは、
一瞬黙った。
「ああ」
「だからこそ、
残酷だ」
6.星槍の反応
その時。
《ルミナス・ノート》が、
微かに鳴動する。
アリアの胸に、
言葉にならない感情が溢れる。
(もし、
私が選ばれなかったら……)
7.初めての恐怖
「……先輩」
アリアは、
俯いたまま言う。
「私、
自分が怖いです」
「選ばれた側で、
何も知らなかった」
8.リリィの答え
リリィは、
そっと肩に手を置く。
「知った今、
目を逸らさないなら」
「それは、
“選ばれた意味”になる」
静かな声。
だが、
確かな重み。
9.決意
アリアは、
顔を上げる。
「……私」
「星槍を、
選別の道具にしたくない」
「希望に、
使いたい」
星槍が、
はっきりと光った。
10.新たな火種
その瞬間。
警報。
「未登録反応、
出現!」
「適性不明――
いや……」
オペレーターの声が、
震える。
「不合格者由来の
共鳴反応です!」
11.選ばれなかった力
リリィが、
双剣を構える。
「……来たか」
アリアは、
星槍を握りしめる。
「先輩」
「はい」
目が合う。
「今度は、
置いていかない」
ラスト
出撃口。
二人の背後で、
静かに灯る無数の光。
それは、
選ばれなかった者たちの
小さな祈り。
アリアは、
前を向いた。
選ばれなかった者の未来を、
選び直すために。




