表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/27

第25話 ###「それぞれの恐怖」

1.静かな隔離室


白い部屋。


ベッドに座る二人の少女は、

互いに目を合わせられずにいた。


模倣型星槍ペア――

正式名称は、まだ与えられていない。


「……ごめん」


片方が、

震える声で呟く。


「私が、

強くなりたいって……」


もう一人は、

唇を噛みしめた。


2.模倣の理由


医療スタッフの報告。


「二人とも、

“選ばれなかった”組です」


星槍適性検査――

不合格。


だが、

“一緒なら可能性がある”と

言われた。


「それだけで、

十分だったんです」


3.アリアの胸に残るもの


アリアは、

その話を聞いて

言葉を失った。


(もし、

私が同じ立場だったら……)


星槍ルミナス・ノートが、

今日は静かすぎる。


「……私が」


思わず、

呟く。


「奇跡を起こしたから……」


4.罪悪感という影


夜。


アリアは、

一人で訓練場に立つ。


「私たちが、

希望を見せなければ……」


星槍を握る手が、

震える。


(でも、

そのせいで誰かが壊れるなら……)


5.リリィの見てきたもの


その背後で、

足音。


「一人で、

全部背負うな」


リリィの声。


「私は……

何度も見てきた」


6.失う恐怖


リリィは、

静かに続ける。


「優秀だった子」


「才能があった子」


「でも――

折れた子」


理由は、

一つ。


「“誰かの代わり”に

なろうとした」


7.言えなかった本音


リリィの指が、

わずかに震える。


「……私は」


一瞬、

言葉に詰まる。


「アリアを、

失うのが怖い」


それは、

初めて口にする

弱さだった。


8.恐怖は、弱さじゃない


アリアは、

ゆっくり振り返る。


「……私も」


「リリィがいなくなるの、

怖いです」


星槍が、

淡く共鳴する。


恐怖は、

拒むものじゃない。


共有するもの。


9.支えるという選択


アリアは、

決意を込めて言う。


「私たちの力は、

真似されても」


「“守り方”は、

真似できない」


リリィが、

小さく笑う。


「やっと、

分かってきたな」


10.新たな役割


翌日。


星槍組に、

新たな任務が下る。


「模倣型適性者の

ケア・監修」


戦うだけじゃない。


「……守る仕事?」


アリアが、

驚く。


「お前向きだ」


リリィは、

即答した。


11.再会


隔離室。


アリアは、

模倣型の二人の前に立つ。


「……怖かったですよね」


二人は、

小さく頷いた。


「でも、

あなたたちは」


「一人で、

戦わなくていい」


その言葉に、

涙が落ちる。


ラスト


夜空。


アリアとリリィは、

並んで歩く。


恐怖は、

消えない。


だが――

握った手は、

離れない。


星槍ルミナス・ノートが、

優しく光った。


それは、

恐怖を越える光ではなく。


恐怖と共に歩くための光。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ