表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/44

第21話 ###「守られるという檻」

1.帰還


基地へ戻った瞬間、

空気が変わった。


拍手も、

安堵の声もない。


あるのは――

無言の視線。


「……隔離区画へ案内します」


案内役の声は、

感情がなかった。


2.“保護”


白い部屋。

窓はない。


「これは、

君たちを守るためだ」


上層部の代表が、

穏やかな声で言う。


「完成した星槍は、

あまりにも危険だ」


アリアは、

小さく息を吸った。


3.選択肢は一つ


「当面、

二人での出撃は禁止」


「精神リンクも、

制限する」


それは――

星槍を殺す宣告。


「……それって」


アリアが、

震える声で言う。


「私たちを、

引き離すってことですか」


4.肯定


「必要なら」


即答だった。


リリィの目が、

冷える。


(やはり……

そうなるか)


5.抑えきれない怒り


「ふざけるな」


低い声。


全員が、

リリィを見る。


「私たちは、

兵器じゃない」


「“完成した”から

管理する?」


双剣に、

僅かに光が走る。


6.制圧準備


「月白リリィ、

武装解除を命じる」


周囲に、

警備兵。


「抵抗すれば、

強制措置を取る」


空気が、

凍りつく。


7.手を握る


その時。


アリアが、

そっとリリィの手を握った。


「……先輩」


小さく、

でも確かな声。


「戦わないで」


8.祈りの強さ


「私、

分かってます」


アリアは、

前に出る。


「怖いんですよね」


「私たちが、

制御できなくなるのが」


沈黙。


9.条件


「だから――

条件をください」


皆が、

息を止める。


「私たちを

“管理”するんじゃなく」


「信じる条件を」


10.一つの提案


「次の作戦」


アリアは、

はっきりと言った。


「私とリリィ先輩を、

正式な“ペアリリィ”として

認めてください」


「成果で、

証明します」


11.視線の交錯


上層部は、

言葉を失う。


リリィは、

アリアを見る。


(……強くなったな)


12.暫定判断


「……検討しよう」


重い沈黙の後。


「だが、

失敗すれば――」


「分かってます」


アリアは、

頷いた。


ラスト


隔離区画を出た後。


夜の通路。


リリィは、

ぽつりと言う。


「……後悔しないか」


アリアは、

微笑んだ。


「先輩と一緒なら」


一瞬、

言葉が止まる。


「……世界を、

相手にしても」


リリィは、

静かに手を握り返した。


守られる檻は、

まだそこにある。


だが――

二人は、

同じ方向を見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ