第19話 ###「狙われる共鳴者」
1.不穏な静けさ
出撃警報は、
いつもより遅れて鳴った。
その“間”が、
不自然だった。
「……静かすぎる」
月白リリィは、
廊下を進みながら呟く。
アリアは、
無意識に星槍を握りしめていた。
(胸が……ざわざわする)
2.分断
次の瞬間。
――バンッ!!
通路が、
強制隔壁で遮断される。
「なっ……!」
赤い警告灯。
「通信、遮断されました!」
アリアの声が、
反響する。
リリィは、
即座に判断した。
「アリア、下がれ!」
3.現れる影
空間が、
歪む。
そこから現れたのは――
人型ヒュージ。
だが、
どこか違う。
「……狙いは、
私ですか」
アリアは、
一歩前に出た。
4.共鳴の匂い
ヒュージの視線が、
アリアを捉える。
その瞬間――
星槍が、強く震えた。
「……共鳴してる?」
違う。
引き寄せられている。
5.誘拐
「アリアッ!」
リリィが、
飛び出す。
だが――
床が崩れた。
重力制御が反転する。
アリアの体が、
宙に浮く。
「先輩!!」
6.掴めなかった手
リリィの指先が、
届く。
だが、
ほんの数センチ。
「――くっ!」
隔壁が、
完全に閉じた。
アリアの姿が、
闇に消える。
7.連れ去られる共鳴者
歪曲空間の中。
アリアは、
必死に息を整える。
「……離して……!」
返事は、ない。
だが、
頭の奥に――
(“完成例”……)
誰かの、
声が響いた。
8.怒り
隔壁の前。
リリィは、
拳を壁に叩きつける。
「……っ!」
感情が、
制御を振り切る。
「私の……
私の、隣だ……!」
双剣が、
黒く輝いた。
9.禁じられた力
管制から、
怒鳴る声。
「月白リリィ!
感情値が危険域――!」
だが、
止まらない。
「返せ」
低く、
凍った声。
10.追撃
隔壁を、
強引に切り裂く。
警報が、
狂ったように鳴る。
「――アリアは、
私が取り戻す」
11.捕らわれの祈り
暗闇の中。
アリアは、
胸に手を当てた。
(……怖い)
でも――
(リリィ先輩は、
来てくれる)
星槍が、
淡く光る。
それは、
二人を繋ぐ灯。
ラスト
同時刻。
敵の拠点で、
誰かが呟く。
「ようやくだ……
星槍計画の“核”」
アリアは、
目を閉じる。
「……待ってます」
その祈りは、
確かに――
刃を呼んでいた。




