第18話 ###「星槍計画の真実
1.非公開ブリーフィング
出撃から数時間後。
アリアとリリィは、
立入禁止区画へと呼び出された。
白い壁。
無機質な会議室。
「これより先の話は、
記録にも残らない」
教官ではない、
見慣れぬ大人が口を開く。
2.星槍計画
「正式名称――
《星槍計画》」
モニターに映るのは、
古い研究映像。
「人類は長らく、
“単独で戦うリリィ”を
前提にしてきた」
映像の中、
多くの少女が倒れている。
3.失敗の山
「共鳴率が高い者ほど、
精神が壊れた」
「力を持つ者ほど、
孤独になった」
静かな声が、
突き刺さる。
アリアは、
無意識に拳を握った。
4.結論
「だから、
結論は一つだった」
男は、
はっきりと言う。
「力は、分け合うべきだ」
単独ではなく、
二人。
祈りと、刃。
5.二人型リリィ
「星槍は、
最初から“二人用”だ」
「共鳴者と、
安定者」
「感情を開く者と、
受け止める者」
リリィの視線が、
わずかに揺れる。
6.選ばれた理由
「天城アリア」
名を呼ばれ、
アリアは顔を上げる。
「君の共鳴率は、
異常だ」
「だがそれ以上に――
他者に向かう祈りが
突出している」
アリアの胸が、
ざわつく。
7.月白リリィという存在
「そして、
月白リリィ」
今度は、
彼女の番。
「君は、
感情制御能力が極端に高い」
「共鳴者を壊さず、
抱え続けられる」
沈黙。
リリィは、
何も言わない。
8.知らされなかった真実
「だが――
この計画は、凍結された」
「理由は簡単だ」
男の目が、
冷たくなる。
「二人同時に失えば、
戦力を二倍失う」
効率の問題。
命の、天秤。
9.怒り
「……それだけですか?」
アリアの声が、
震える。
「私たちは……
部品なんですか?」
一瞬、
空気が張り詰める。
10.敵の狙い
「だからこそ、
敵は君たちを狙う」
「星槍の“完成例”は、
未だかつて存在しない」
「――君たちが、
初めてだ」
その言葉は、
重すぎた。
11.二人の選択
会議室を出た後。
廊下の静けさ。
アリアは、
足を止めた。
「……怖いです」
正直な声。
「知っちゃったから」
12.手を取る理由
リリィは、
立ち止まり、
アリアの手を取る。
「それでも、
離れない」
強く、
はっきりと。
「君が壊れる未来より、
二人で抗う未来を選ぶ」
ラスト
夜。
星槍が、
二人の間で静かに輝く。
それは、
兵器ではない。
絆の証明。
だが同時に――
世界にとっての
危険因子。
遠くで、
新たな警報が鳴り始める。
物語は、
もう後戻りできない場所へ。




