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第17話 ###「二人で一つの聖槍」

1.出撃命令


夜明け前。

警報は、途切れることなく鳴り続けていた。


「ヒュージ群、学園外縁部に接近!」


管制室の空気が張りつめる。


「月白リリィ、出撃準備」


一瞬の間。


「……天城アリアも同行を許可する」


ざわめき。


「ただし――

試験運用だ」


2.並ぶ背中


発進デッキ。


二人は、

並んで立っていた。


「……震えてます?」


アリアが、小さく聞く。


「君もだろ」


リリィは、

視線を前に向けたまま答える。


星槍ルミナス・ノートは、

まだ完全には起動していない。


それでも――

拒絶は、ない。


3.リンク開始


「精神リンク、開始」


管制の声。


「数値、上昇……

共鳴率、二人合わせて――」


一瞬、沈黙。


「……あり得ない値です」


4.重なる感情


アリアの視界が、

揺れた。


(……あ)


風景の奥に、

リリィの感情が流れ込んでくる。


焦り。

覚悟。

そして――


(……私を、守るって……)


胸が、熱くなる。


5.聖槍、覚醒


星槍が、

はっきりと歌った。


光は、

二色。


白と、淡い蒼。


「……これが」


リリィが息を呑む。


「二人分の共鳴……」


6.初撃


ヒュージが、

迫る。


「行けますか?」


アリアの問いに、

リリィは即答した。


「行く」


アリアは、

槍を構える。


(祈りは……

独りじゃなくていい)


7.一つの動き


踏み込み。

斬撃。


完璧な連携。


言葉はない。

だが、ズレがない。


「……すごい」


管制室の誰かが、

呟いた。


8.暴走の兆し


だが――

突然、数値が跳ね上がる。


「共鳴率、危険域!」


アリアの呼吸が、

乱れる。


(気持ちが……

溢れる……!)


9.支える刃


「アリア」


リリィの声が、

心の奥に直接届く。


「私を見ろ」


アリアは、

はっとして視線を向ける。


「独りで抱えるな」


10.繋ぎ止める祈り


アリアは、

小さく頷く。


(……一緒に)


二人の呼吸が、

重なる。


星槍の光が、

安定した。


11.撃破


最後の一体。


二人は、

同時に踏み込んだ。


「――今!」


槍と剣が、

交差する。


光が、

夜を裂いた。


ヒュージは、

完全に消滅する。


12.静寂の後


戦場に、

静けさが戻る。


アリアは、

膝をつきそうになり――

リリィが、支えた。


「……できましたね」


「……ああ」


二人の額が、

軽く触れる。


ラスト


星槍ルミナス・ノートは、

静かに輝いていた。


もう、沈黙していない。


それは――

二人で使う聖槍。


アリアは、

小さく笑う。


「先輩……

私、独りじゃなかった」


リリィは、

はっきりと言った。


「最初から、

独りにする気はない」


二人の影が、

重なったまま、

朝日を迎える。

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