第14話 ###「歌えないアリア」
1.封印
星槍は、
厳重なケースの中で眠っていた。
「……使用禁止?」
アリアは、
その言葉を何度も噛みしめる。
「精神負荷が危険域に達した。
回復するまで、出撃は認められない」
教官の判断は、
冷静で、正しかった。
――だからこそ、
胸が苦しい。
2.残される祈り
訓練場の外。
アリアは、
柵越しに戦闘演習を見つめていた。
仲間たちが、
次々と出撃していく。
(私が、いない……)
拳を握る。
歌えない自分は、
ただの――見学者だった。
3.前線へ
「第二班、出るぞ」
月白リリィの声は、
いつも通り落ち着いている。
だが、
双剣を握る手は、
ほんの僅かに強かった。
(アリア……)
振り返らない。
振り返れば、
迷いが生まれるから。
4.異変
警報が、
戦場に鳴り響く。
「ヒュージ反応、想定以上!」
「数が……多すぎる!」
空気が一変する。
リリィは、
瞬時に判断した。
「前進。
私が突破口を作る」
5.月白リリィの戦い
双剣が、
夜を裂く。
正確無比な斬撃。
だが――
一体、また一体。
(削りきれない……)
息が荒くなる。
それでも、
退かない。
(アリアがいない戦場でも、
私は――)
6.見ているだけの痛み
管制室。
モニター越しに、
アリアは戦況を見ていた。
「……リリィ先輩」
映像の中の背中が、
あまりにも小さく見える。
(私のせいで……)
胸が、締めつけられる。
7.崩れる陣形
「左翼、突破されました!」
「援護、間に合いません!」
リリィは、
一瞬だけ歯を食いしばる。
(このままじゃ――)
ヒュージの一撃が、
彼女を吹き飛ばした。
8.叫び
「リリィ先輩!!」
思わず、
アリアは叫んでいた。
胸の奥が、
熱く、痛む。
(歌えない……
でも……)
その時。
ケースの中の星槍が、
微かに震えた。
9.届かない歌
アリアは、
震える手で胸に触れる。
「……祈るだけじゃ、
だめなんですか」
答えは、返らない。
だが――
モニターの中。
リリィが、
再び立ち上がった。
10.信じるという選択
「まだ……終わらない」
血を拭い、
双剣を構える。
「アリアは、
逃げないって言った」
なら――
「私も、
信じ続ける」
再び、前へ。
ラスト
戦闘は、
辛うじて持ちこたえた。
夜。
アリアは、
星槍のケースの前に立つ。
「……私、
歌えなくても」
小さく、囁く。
「祈ることだけは、
やめません」
星槍は、
答えない。
だが――
その沈黙は、
嵐の前触れだった。




