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第二章  第十一話 ###「世界が、二人を試す」

第二章

それは、夜明け前だった。


学院全域に、

聞き慣れない警報が鳴り響く。


「――緊急事態宣言」

「大型ノクス、複数反応」


ざわめきが、恐怖に変わる。


規格外


ブリーフィングルーム。


ホログラムに映る影は、

今までのノクスとは、明らかに違った。


「……大きすぎる」


アリアの声が、震える。


「推定サイズ、都市区画一つ分」

「従来戦術、通用しない可能性あり」


教官の言葉が、重い。


出撃前


装備チェック。


「……手、震えてます」


アリアが言う。


リリィは、

そっとその手を握った。


「大丈夫。

震えてるってことは……生きてる」


アリアは、

少し笑った。


破壊の影


戦場は、

夜と炎に包まれていた。


大型ノクスが動くたび、

地面が揺れる。


「接近不可!

火力が……足りない!」


通信が、悲鳴を上げる。


バディの選択


「弱点は……?」


アリアが叫ぶ。


リリィは、

ノクスを見上げる。


「……核は、上」


「……高すぎます」


「行くしかない」


二人は、目を合わせる。


言葉は、もう要らなかった。


空へ


リリィが踏み込み、

瓦礫を蹴る。


「アリア!」


「はい!」


アリアの槍が、

光の足場を生む。


一歩、二歩――

空を駆ける。


共鳴率、上昇。


反撃


ノクスの巨腕が、

二人を薙ぎ払う。


「っ!」


リリィが、

アリアを抱き寄せた。


衝撃。


それでも、

落ちなかった。


「離れないって……」


「言ったでしょ!」


核、露出


「今です!」


アリアの声。


光が、収束する。


だが――

大型ノクスは、なお健在。


「……まだ、足りない」


絶望の影


共鳴が、

揺らぐ。


体力も、限界。


「撤退命令――」


通信が、途切れる。


世界が、

二人を試していた。


それでも


リリィは、

アリアの肩に手を置く。


「……信じる」


「はい」


たった、それだけ。


だが――

まだ、決着はついていない。

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