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ステータスALL Sの受験生が170キロで高校野球を終わらせた件  作者: 白峰レイ
第1章 高校編

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第58話「並び立つ」

十回裏 開明の攻撃


先頭は9番鈴木。


この後佐藤、夏目に回る好打順。


夏目と佐藤の前にランナーを出す訳にはいかない。


だが、相手投手も延長に入り疲れが出ていた。

変化球の制球が乱れ、すっぽ抜けたスライダーを当ててしまう。


「デッドボール!」


ノーアウトランナー1塁


打席には佐藤智也


佐藤はバットを握り直しながらつぶやいた。


(……頼む、繋がせてくれ)


初球。


パァンッ!!


センター前。

きれいなクリーンヒット。


スタンドが割れる。


続く夏目は、

もちろん敬遠。


(これは届かないな……)

夏目はボール球でも届きそうなら打とうしていたが、東陵バッテリーはしっかり警戒していた。


満塁策だ。


このチャンスで打席には山田。


だが、内角高めのストレートの下を叩きキャッチャーフライでアウト。


一瞬、甲子園が静まり返る。


夏目がネクストの方を見てぽつり。


「……中村、決めろよ」


「お前が言うのプレッシャーやべぇんだよ!!!」


打席に立つのは、中村秀人。


満塁で回ってきた。

千載一遇の場面。


一点入ればサヨナラ。


相手バッテリーは気合十分。


(ここだけは絶対おさえる!)


中村はバットを強く握る。


(……夏目の隣に立ちたくて戻ってきたんだ。

 だったら、この場面で打てよ俺!!)


初球。


ボール。

観客がざわめく。


二球目。


外角いっぱい。ストライク。


三球目。


ファウル。


カウント 1-2。


球場が息を止める。


夏目は1塁から、静かに中村を見ていた。


(打て。お前にしかできねぇだろ)


四球目。


真ん中寄りのスライダー。


(――これだ)


その瞬間、中村の体が勝手に動いた。


――カキィィィィィィィィンッ!!!


打球はセンターへ一直線。


伸びる。

落ちない。

センターのグラブが――届かない。


芝生を転がる。


三塁ランナー、一気に駆け抜けホームイン。


サヨナラ。


甲子園が爆発した。


中村は一塁を踏んだ瞬間、

自分の足が震えているのに気づいた。


(……打った……?

 俺が……?)


夏目が誰より早く走ってきた。


無言で、全力で、

中村の頭をぐしゃぐしゃにしながら言った。


「……よくやった」


その一言で、

中村は涙がこぼれそうになった。


仲間が雪崩れ込み、

開明ベンチは歓喜の渦に包まれた。


スコアは――

2ー1、開明の勝利。


延長十回、サヨナラ。


九条は負けを認めるように帽子を取って言った。


「……完敗だ。

 でも夏目……次は勝つ」


夏目は軽く頷いた。


「……まあ、待ってるよ」


ーー試合終了


開明高校、決勝進出。

怪物とキャプテンが並び立ち、

夏の聖地はさらに熱を帯びていく。


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