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ステータスALL Sの受験生が170キロで高校野球を終わらせた件  作者: 白峰レイ
第1章 高校編

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45/103

第45話 「世界が本気で恐れ始めた夜」

試合が終わった瞬間、

甲子園は“歓声”ではなく“ざわめき”で満たされていた。


右腕が限界に近づき、球速は142km。

誰もが「終わった」と思ったその時――

夏目は、県大会で一度だけ見せた左腕を解禁した。


ただの左ではない。


160km/h。

ジャイロ回転で伸びながら僅かに沈む“魔球系ストレート”。


スタンドは混乱し、誰も状況を理解できなかった。


(なんで左も速いんだよ……)

(いや、これ左の方が打てねえんじゃねえか?)

(ジャイロボールって漫画だけの話じゃねえの?)


その驚愕の余韻が残ったまま、佐藤が逆転サヨナラヒットを放ち、試合は幕を閉じた。


しかし観客の脳には、まだ“夏目の左腕”しか残っていなかった。


 


◆ Tmitter ― トレンドが崩壊する


1位:夏目孝太郎(17)

2位:ジャイロボーラー

3位:二刀流?

4位:県大会の伏線回収

5位:両腕世界最速候補

6位:佐藤サヨナラ

7位:完全にゲーム

8位:相手が気の毒

9位:スカウトの寿命

10位:野球物理崩壊


タイムラインはもはや実況ではなく“怪談”に近い。


《右がダメなら左でジャイロボール投げてくる高校生》

《今日の試合、情報量が多すぎて胃もたれする》

《佐藤がヒーローのはずなのに、夏目のせいで“エンディングBGM”扱い》

《いやサヨナラ打ったの佐藤なんだが?》

《でも160出した左腕のせいで全部吹き飛んだ》

《夏目の人生、普通に漫画家泣かせの展開》


 


◆ なんB


スレタイ①

【悲報】夏目、右170キロ→左で160ジャイロ【甲子園3回戦】


1 :風吹けば名無し

ジャイロボールって実在したの?


11 :風吹けば名無し

たぶん漫画のキャラが憑依してるわ


18 :風吹けば名無し

右が壊れそうになると左が覚醒ってゲームのバグ技か?


22 :風吹けば名無し

てか左のジャイロが意味わからん。伸びながら沈むって何?


33 :風吹けば名無し

佐藤のサヨナラめっちゃ熱かったのに

完全に夏目の成長イベントに飲まれてて草


47 :風吹けば名無し

スカウト「右が壊れても左がいるから安心」

↑安心するな


スレタイ②

【朗報】佐藤、実は普通にすごい【主人公の被害者】


3 :風吹けば名無し

キャッチャーで173キロ受けて打撃も強いの普通にやばい


10 :風吹けば名無し

夏目のせいで全部霞んでるけど、佐藤って高校トップクラスの天才だよな?


29 :風吹けば名無し

今日の佐藤は普通にスカウト案件

ただ夏目の存在がデカすぎて誰も覚えてない


スレタイ③

【悲報】南浦の監督、心が折れる


5 :風吹けば名無し

南浦の監督、左で投げた時の絶望した顔よ……


18 :風吹けば名無し

夏目のあの球、カットしてた選手達も凄かったがな


 


◆ 海外掲示板


スレタイトル

「A Japanese high schooler just threw 100mph LEFT-handed」


Topコメント

・This kid literally switches arms like switching weapons in a video game.

・He threw 100mph right-handed last week. WHAT IS HAPPENING.

・Stop evolving mid-game, bro.

・Are we sure he is 17?

・He hasn’t even graduated, yet pro teams at the highest level are already battling for him.


外国人がGIFで夏目のフォームを解析し始める。


「左腕の回転が理解不能」

「日本の高校野球にX-MEN混ざってる」

「佐藤のwalk-off is amazing but Natsume stole the entire movie」


 


◆ スポーツニュース(国内)


《夏目孝太郎(17)、左腕で160km/h。ジャイロボーラーに各界震撼》

《“伏線の左腕”の魔球が凄すぎて対策不能》

《名将率いる南浦、ジャイロボールに粉砕される》

《開明の佐藤、値千金のサヨナラ。しかし情報量が渋滞》


さらに別紙はこう書いた。


《夏目はまだ完成していない。成長曲線が“上を向いたまま”だ》


 


◆ スカウトの反応(地獄)


「右が崩れて左が覚醒……?そんな仕様ありえるか?」

「いや“右左どちらもドラ1級”って言葉、初めて使った」

「人間の成長速度の範囲からズレてる」

「次も投げるなら……まだ上がる可能性がある」


評価書の備考欄には、こう残された。


《理解不能(good meaning)》

《説明できないが、とにかくすごい》

《観測を続けることが唯一の手段》


 


◆ 試合後の宿舎


全員まだ興奮で眠れない夜。


薄暗い部屋で、夏目は静かに考えていた。


(……右、まだ重い。たぶん左で投げた方がいいな)


しばらくして、小さく独り言が漏れる。


「……仕方ない、左だな」


それを聞いた中村は、布団の中で泣きそうになった。


(仕方ないのレベルじゃないんだよ……)


その横で佐藤はひっそりと拳を握っていた。


(……次も打つ。怪物とバッテリー組んでるんだから、俺も活躍しねぇと)


怪物の影響は、味方にも確実に広がり始めている。


甲子園3回戦。


終わってみれば――

“高3の夏の1試合”とは到底思えないほど、

世界に衝撃を与えた一日だった。


怪物はまだ成長途中。

その事実を、世界が本気で恐れ始めていた。




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