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ステータスALL Sの受験生が170キロで高校野球を終わらせた件  作者: 白峰レイ
第1章 高校編

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25/103

第25話 怒涛の突破――怪物、止まらず

3回戦の相手は鳴海工業だった。


試合時間はわずか1時間弱。

夏目は初回から全力の【170キロ+高回転ストレート】だけで、

相手打線を完全に沈黙させた。


「なんでストレートで詰まるんだ……?」

「浮いてないか?あの球……?」

「いや、見えねぇって……」


相手ベンチの声がすべてを物語る。


打つ方でも、夏目は初回先頭ホームランから暴れに暴れ、

3打数 2安打 2本塁打 1敬遠


試合結果は、


開明高校 8-0 鳴海工業(7回コールド)


野球部のグループLINEはお祭り騒ぎで、

中村はベンチで泣き笑いしていた。


「夏目ぇぇぇ!!優しさと暴力のハイブリッドかよお前ぇぇ!!」


伊藤はスコアブックに視線を落としながら思う。


(……今日も球が伸びてた。昨日より、また。)


胸の奥で小さく積もる違和感は、

まだ“正体”を持っていなかった。



4回戦の相手は、県内屈指の打撃校・北条商。


相手は「夏目攻略ノート」を作り、満を持して挑んできた。


だが、そのノートの最後の行にはすでに絶望が滲む。


《ストレートを捨てろ!全部浮き上がる!》

《変化球は理解不能!手を出すな!》

《……無理では?》


結果は、その予感を軽々と超えた。


夏目は5回を投げて 15奪三振、走者ゼロ。


打撃では――

第1打席:左中間特大ソロ

第2打席:逆方向ホームラン

第3打席:ランニングホームラン未遂(三塁打)


ついに相手監督が叫ぶ。


「もうアイツ全国行かせてやれ!!うちは無理だ!!」


開明高校 10-0 北条商(5回コールド)


マウンドを降りた夏目の肩を中村が叩く。


「お前……ほんとに高校生か……?

いや、地球人か……??」


夏目は首を傾げた。


(……そんなにか?)


伊藤は胸にざわつきを覚える。


(今日の球質……昨日よりまた良くなってる。

いったい……何が起きてるの、この人……?)


違和感はまだ“名前”を持たず、

静かに根を張るだけだった。



準決勝を終えた夜。

開明高校の名前は県内ニュースで踊っていた。


《謎の怪投手・夏目孝太郎。3試合で走者ゼロ》

《甲子園候補最有力、開明高校》


しかし当の本人は、

自室で淡々と筋トレを続けている。


(……明日勝てば、甲子園か)


胸の奥の高鳴りは、

夏目自身が思っている以上に大きくなっていた。



翌朝。


球場はこれまでとは桁違いの人の波に埋め尽くされていた。

実況がいなくても、空気そのものが熱を帯びている。


中村は手を震わせながら言った。


「夏目……いよいよ決勝だぞ……!

ここ勝ったら……甲子園……!」


伊藤は静かに微笑む。


「夏目君。今日も“いつも通り”でいいのよ。

……あなたの“いつも通り”は、他の人とは違うけど」


夏目は短く返す。


「……まあ、やれるだけやるよ」


「その“やれるだけ”が県を破壊してんだよ!!!」


三者三様の熱が混ざり合い、

夏目の背中を押していく。


彼はゆっくりと、

決勝のマウンドへ歩き出した。


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