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ステータスALL Sの受験生が170キロで高校野球を終わらせた件  作者: 白峰レイ
第1章 高校編

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第1話『巨人のガリ勉、開明高校へ。』

昔から“モテる男の条件”として「三高」なんて言葉がある。

――高身長・高学歴・高収入。


だがこれは言わせてもらいたい。


高身長って、どこからが“高”なんだ?

あと何センチから“アウト”なんだ?

規格外はどうなるんだ?


そういう、絶対に教科書には載らないどうでもいい疑問を抱えて生きているのが、夏目孝太郎である。


閑話休題。


身長の高い両親のもとに生まれ、裕福な家庭で育てば“三高”のうち二つまでは自動取得。

つまり“三高”とは、ほぼ親ガチャで決まる運命のスキルだ。


その点、夏目孝太郎はガチャSSR。

いや、背景演出つきの虹色確定。


両親は高身長の美男美女、父親は上場企業の社長という、テンプレすぎて逆に疑われるレベルの勝ち組設定である。


そんな家で生まれ育った夏目は、のびのびと――いや、物理的に“伸びすぎて”育っていった。


小学六年の時点で既に身長一八〇センチ超え。

低学年の前を通ると「先生おはようございまーす!」と挨拶される。

写真を撮れば担任よりデカい。

もう「先生が三人いますけど?」という怪奇写真である。


当時の夏目は

(まあ、高いほうが得って言われるし?)

くらいに思っていた。


――中二の夏休みまでは。


身体測定の日。

保健の先生が震えながら数字を読み上げた。


「……夏目孝太郎くん、二メートル二センチ」


周囲の男子「うおおおぉ!デカっ!!怪獣!?」「校舎より高くね!?(誇張)」

夏目「……………………(終わった)」


ついに来てしまった。禁断の二メートル超え。


日本人平均一七一センチ。

一九〇で目立つ。

二メートル超えたら観光名所である。


ドアは確実にかがまないと頭をぶつけるし、体育教師からは「君はバレー部の希望だ!」と毎週スカウト。

さらにはこんな陰口も聞こえていた。


「立てばスカイツリー」

「座れば富士山」

「走る姿はエ◯ァンゲリオン」


おい誰だ、ネル◯フの職員呼んで来い。


勉強は学年一位、顔もそこそこ整っている。

なのにモテない。


夏目は悟った。


“三高”の高身長は、二メートルを超えた瞬間に別カテゴリーになる。

もはや“高”ではなく“巨”である。


バスケ部の山田は「スポーツ選手ならモテるぞ!」と言っていたが、その道に進める確率0.01%。

さらに高収入選手になるのはごく一部。

つまり山田のアドバイスは「宝くじ当てろ」に等しい。


そんな夢を見るより、勉強して堅実に生きたほうが百倍マシだ。


こうして夏目は、中学三年間、部活動に見向きもせず、ひたすら勉強へと突き進んだ。


その結果――県内トップの進学校・開明高校に、成績トップで合格することになる。


……が、本人はそんな輝かしい経歴よりも、もっと深刻な問題を抱えていた。



満開の桜が咲き誇る四月、入学式の日。


夏目は中学三年間すべてを勉強に捧げ、開明高校に成績トップで合格していた。

……が、本人の脳内はお通夜である。


理由は簡単。

身長はすでに二メートル五センチを超えていた。


「うわっ、あいつでけぇー」

「すげぇ、巨人じゃん」

「あー、吉中のガリ勉ノッポだ」


――入学しても、身長は縮まない。むしろ伸びていた。なんでだ。


「また中学と変わらない地獄の三年間が始まる……」


ため息をつきながら、開明高校の門をくぐる。


入学式が始まった。

新入生総代の綺麗め女子が何やら立派な挨拶をしている……が、夏目の頭には一文字も入ってこない。


(総代って、本当は成績一位のやつに話が来るんだよな……)


実際、最初は夏目に話が来ていた。

だが「これ以上目立ちたくない」という理由で、全力で辞退した。

壇上に二メートル超えの新入生が立てば、絶対SNSで祭りになる。


代わりに総代を務めているのが、あの黒髪ロングの女子――伊藤玲奈であることを、このときはまだ名前も知らない。


続いて校長の挨拶が始まった。

五分くらいは聞いていた気がするが、気がつくと終わっていた。

むしろどうやって寝たのか自分でも気になる。


式が終わり教室に戻ると、生徒たちの陰口が耳に入りまくる。


「もはやデカすぎてキモイ」

「あいつってデカイだけでスポーツもできねぇらしいぜ」


夏目は奥歯を噛みしめる。


(もっと小さい声で言えよ…ぜってぇあいつらよりいい大学行ってやる……)


そう決意した瞬間――自己紹介の番が回ってきた。

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