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第6話 隣の席のあの子は〇〇

 祭持さんに教えてもらった通りに俺は、ええと、『迷いの道』だったか?その道を歩いてゆく。


 何度も同じ場所を回っている様にしか思えない道を歩き、不安が募ってきた時、ようやく見慣れた道路へと出た。


 すると次第に車の音と人の声が聞こえ、安心する。


 「さて、帰ろう……俺の家に」


 次の日、目覚ましで起きた俺は、寝ぼけ眼で部屋を見渡す。いつもと変わらないその部屋は、まるで昨日のことがなかったかのようだった。


 「やっぱり夢だったのか?」


 昨日の出来事はあまりにも現実離れしていた。目を舐めてきた少女に、カラスの怪物。そしてエロチい女性。あれらの出来事はただの夢だったのかもしれない。そんな現実逃避じみたことを考えながら朝の身支度を終えた俺は、靴を履き外へ出る。


 「……やっぱ、夢じゃないよな」


 ああ、くそ……あんな鮮明な記憶が夢な訳ないよな。


 それを裏付けるように、少し遠くに四つん這いの異形がいた。その異形は手足を引きずるようにして歩いている。まるで夢ではないぞと言わんばかりの景色に、俺は苦虫を潰したような顔をする。


 そんな化け物を、俺は見なかったことにして、玄関の扉の鍵を掛け、学校へ向かう。祭持さんに言われた通り、道中はなるべく視点を動かさずに歩いた。


 霊異者の数自体は少ないのだろうか? 道中、霊異者らしき者はいなかった。外に出た時に遠くで見かけた四つん這いの異形くらいだった。


 こうして学校に着いた俺は自分の教室の行き、自身の机で鞄を広げ始める。


 鞄から教科書、ノート等の授業で使う物を出して机の中に閉まってゆく。それらを全て出し終え、鞄をロッカーへと置きに行こうとしたその時、突然声を掛けられた。


 「おはよっ、奥崎君!」


 唐突に聞こえた、元気で明るい声。友好関係の狭い俺にこんな口調で話しかけてくる女子はこの学校では一人しかいない。

 

 俺の隣の席の女の子、競斗 芽井 『きそと めい』だ。


 俺は、天真爛漫に声を掛けてきた競斗さんに挨拶を返そうと振り返る。


 「おは……っっ!?」


 だが俺の挨拶は途中で止まってしまう。突然の驚きのあまり声が途切れてしまった。何故ならそこには居たから……霊異者が。


 競斗さんの右肩には黒色の蠢くモヤが乗っかっていた。そのモヤには大きな目と口がついており、競斗さんの横顔を凝視しながら震える唇で言った。


 『返して……』


 その声を聞いた瞬間、俺は祭持さんの言葉を思い出した。


 「取り憑くことができると言うことは干渉できると言うこと」


 ……つまり、昨日のあのカラスの化け物より力が強いということ。


 そんな霊異者を前にして、俺は開いた口が塞がらなかった。

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