表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/182

Episode:97

「ともかく急がなきゃだな。あいつらに先回りされたら困る」

「あ、でも、夜まではたぶん平気です」

 戦力じゃどう考えても、向こうのほうが上だ。けどそれが森の中に潜んでるんだから、今すぐ動くつもりはないんだろう。


 おそらく、狙いは奇襲だ。だとすれば、動くのは夜だ。

 それを説明すると、お姉さんがうなずいた。


「たしかにね。真昼間じゃ奇襲ったって丸見えで、奇襲になりゃしないだろうし」

 この辺、ケンディクの人なんかに比べて理解が早い感じだ。なんというか、すごく「慣れてる」感じがする。

 それを言うとお姉さんが笑った。


「そっか、あんた知らないね。えーと、あの町が何度も戦火くぐってんのは知ってるかい?」

「あ、はい、聞きました」

 最初にこの町へ来たときにも聞いたし、そのあとも何度か、そのことは聞いてる。


「まぁそんなだからね、慣れてるんだよ。んで、いつでもみんな逃げられるようにしてるんだ」

 話を聞きながら、すごいなと思った。もしこんなふうに、どの町でも逃げる体制が出来てたとしたら、被害を受ける人は格段に減るだろう。ノネ湖で別れたロジーヌおばさんとその息子さんみたいに、巻き込まれてひどい目に遭ったりしなくてすむはずだ。


「けど姉貴、逃げるったってどこへだよ」

 イマドが訊く。

 でも言うとおりだと思った。

 ルアノンの町、小さいといってもそれなりの人口だ。たぶん、全部あわせたら最低でも数千人だろう。それが全員逃げるなんて、容易なことじゃない。

 けどお姉さん、あっさり答える。


「あれ、お前知らない? 谷だよ」

「谷って……大峡谷か?」

 大峡谷といえば去年の夏に、走竜で見に行ったところだ。


「あんななんもねーとこ、逃げてどーすんだよ」

「なんもなくないさ、あそこ、地下都市がある」

 思わずイマドと、顔を見合わせる。


「地下都市って……」

「言葉どおり、地下都市さ。っても、古い時代のもんだけどね。地下が掘り抜いて、住めるようになってるんだ」

 どうやらあの谷、ただ見て回れるだけじゃなかったらしい。


「ぜんっぜん知らなかったぞ、俺」

「だろうね。あんま話すことじゃないし、ルアノンじゃ寄り合いに出れる年にならないと、町のモンにも教えないんだ」

 要するにこのまちの切り札と言っていいものだから、容易には教えないんだろう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ