Episode:95
「わ、だいじょうぶそうー。そしたらね、この尻尾のほうを、頭の中にうまく差し込むの」
「こんな感じ?」
苦心しながら余った茎を見えないように、最初に編んだ辺りへ押し込んでみた。
「これで……どぉ?」
うまく挟まってきちんと輪冠のようになった花輪を、頭に載せてあげる。
「すっごーい、きれーい。お姉ちゃん上手!」
「よかった」
喜んでもらえたみたいで何よりだ。
「ねね、今度はお姉ちゃんの分、作ろうよ!」
「あ、うん、そうだね」
別にあたしは要らないのだけどな……と思ったけど言えなくて、また花摘みから始める。ただ今度はさっきの残りがあるから、必要な分はそんなに多くなかった。
「このくらいでいいよね!」
「うん、たぶん。足りなかったら、摘めばいいし」
花を手にとって、2つ目を編み始める。
2度目で慣れてきたんだろう、さっきよりは進みが速かった。これならきっと、半分くらいの時間で編みあがる。
「お姉ちゃん、もうちょっと?」
「もう少しかな……?」
そうやって編んでいるすぐ後ろで、イマドが不思議そうに言った。
「あれ、ヘイゼル姉たちじゃん。何でもう戻ってきたんだ?」
「え?」
驚いて顔を上げるとたしかに遠くのほうに、こちらへ来る一団が見える。
「おかしいわね、猟なんて始まったら、一日がかりのことだってあるのに」
「だよなぁ。急に嵐とかでもなきゃ、おっさんたちやめねぇし」
どうやら、異例のことみたいだ。
それでも手だけは動かしながら見ていると、みんながこっちへ来た。でもなんだか、深刻な表情だ。
「ザニエスさん、良かったここに居て」
「なにがあったんだい?」
イマドのおじさんがのんびりと訊く。
身内だからだろう、ヘイゼルお姉さんが前へ出た。
「親父、軍隊だ」
「軍隊……? 意味が分からんのだが」
首をひねるおじさんへ、お姉さんが説明する。
「あたしら、狩りにいっただろう? で、シュヴァインのねぐら見つけようと思って、犬たちに臭い追わせてたんだよ。そしたらこいつら、急に立ち止まってさ」
それでお姉さん、不審に思って近づいたんだそうだ。
「そしたらほんの少し先に、軍の連中がキャンプ張っててさ。軍服だから身間違えようがない」
「あの、どんな服装でしたか?」
思わず口を挟む。軍服の特徴や兵装が分かれば、どこの国かもおおよそ見当がつくはずだ。




