Episode:94
「でね、長いのをこう3つ持つでしょ? そしたらね、次のを少しずらして持つの」
ネミちゃんがまず3本をまとめて、次に花の部分が重ならないようにずらして、1本を持った。
「そうしたら、最後に持ったやつの茎を、ぐるっと縛るみたいに一周させて……こうやってね、さいご花の上を通して下側へ曲げるの」
「こう……かな?」
確かにやってみると、最初の花が縛られる格好になる。
「お姉ちゃん、そこで離さないでね。その作ったほうを持ったまま、またおんなじことするんだよ」
「同じこと……こう?」
先に作った4本を、新しい花で同じ要領でまとめてみた。
「わ、お姉ちゃん初めてなのに上手ー」
「そうかな?」
ネミちゃんは悪気はないんだろうけど、褒められるとちょっと落ち込む。だいいちあたしが教えてもらってる時点で、絶対何かがおかしい。
ただ、作業自体は子供がやるだけあって単純だ。一度分かってしまえば、けっこう早いペースで進めていける。
「わ、お姉ちゃん早いー」
「そう?」
けど見てみるといつの間にか、ネミちゃんの倍の速さで作っていた。
「早いし、すごくしっかりしてるー。ねぇ、出来たらこれ、ネミがかぶってもいい?」
「もちろん」
ネミちゃんが持ってきてくれた花を、次々とまとめてしばって長くしていく。
「さすがに手際いいわねぇ。シエラの子はみんなそうなの?」
「そうでもねぇぞ」
後ろから、イマドとアーネストさんの会話が聞こえた。
「Aクラスだと、まぁみんな要領いいけどな。でもルーフェイアなんて、メシ作らせたらエラいことになるし」
なんかひどいことを言われてる気がする。
けど答えるアーネストさん、もっと凄かった。
「あら、ご飯は仕方ないわ。それにイザとなったら、食べに行けばいいんだし」
お医者さんの娘として育って、今もお医者さんの奥さんなだけある。
「ったく、アネット姉は節約って言葉知らねぇのな」
イマドがため息交じりの声で言うと、お姉さんが反論した。
「まぁひどい。節約なら私だってしてるのよ? この間も、ちゃんと予約の要らないお店で食べたし」
「それ、節約って言わねーから」
そんな話を聞きながら手を動かすうち、花束がずいぶん長くなった。
「これ……長さ、もう足りるかな?」
言って、ネミちゃんの頭に輪にして乗せてみる。
「わ、だいじょうぶそうー。そしたらね、この尻尾のほうを、頭の中にうまく差し込むの」
「こんな感じ?」
苦心しながら余った茎を見えないように、最初に編んだ辺りへ押し込んでみた。




