Episode:92
「さ、こっちおいで。行くなら仲間に紹介するからさ」
「はい」
お姉さんが歩き出しながら、隣に車を停めたおじさんたちに声をかけた。
「親父、この子とイマド、ちっと借りるよ。猟見てみたいんだと」
「え、お姉ちゃんいっちゃうの?!」
案の定、ネミちゃんが嫌がる。
「ダメだよ、あたしお姉ちゃんと遊ぶって、約束したんだもん」
遊ぶ約束はしたかな……と思いながら、結局あたしはお姉さんに言った。
「あの、すみません。せっかく誘っていただいたんですけど……あたしネミちゃんと、ここに居ます」
「別にそこまで、気遣わなくてもいいのに」
「でも……すみません」
あたしは頭を下げた。
お姉さんが肩をすくめる。
「やれやれ、まぁしゃーないか。ネミ? あんた次はちゃんと、ルーちゃん行かせてやんな」
「はーい」
嬉しそうに答えるネミちゃん。でもお姉さんとの約束は、きっと覚えてないと思う。
「ねぇお姉ちゃん、花の髪かざり作って!」
「髪かざり……」
ネミちゃんは当然という顔だけど、あたしは何のことだか分からなかった。
「花で、髪かざりって?」
「あれ、お姉ちゃん知らない? やったことないの?」
「ない、かも……」
答えながら、落ち込んでくる。自分が世間一般からどうもズレてるのは分かってたけど、こんな小さい子と比べてもズレてるなんて思わなかった。
こんな調子であたし、これからやってけるんだろうか?
「ネミ、お前がやり方教えてやれよ、出来っだろ?」
落ち込むあたしに、後ろから声がかかる。
「イマド、行かなかったの……?」
「行かねーよ。てか姉貴、お前来ねーならここに居ろって、俺こと置いて行っちまったし」
ヘイゼルお姉さん、何考えてんだろう? 何もイマドまで、置いていかなくてもいいのに……。
ただイマドのほうは、ほっとしてるように見えた。
「もしかして、行きたく……なかった?」
「行きたくねぇってか、行くと俺、犬代わりさせられんだよな。ほら、場所分かっから」
「あ……」
イマドがふつうと違うこと、お姉さんたちはさすがに知ってるんだろう。ただそれで追跡させられるんじゃ、たしかにたまったもんじゃない。




