Episode:91
「けど姉貴、一人で狩るのか?」
「んなワケないだろ。いつもどおり、みんなと一緒だよ。後ろにもちゃんと載せてきたし」
何のことだろうと振り向いて荷台を見て、さすがに驚いた。
「か、狩犬?!」
3頭もの狩犬が伏せをして、微動だにせず荷台に乗ってる。
「いつもながら、あいつら大人しいよなー」
「まぁね。てーか命令どおりに動いてくれなきゃ、狩りになんないだろ。まぁそん中でもこいつら、優秀だとは思うけどね」
どうやらこの犬たち、お姉さん自慢の犬たちらしい。でもたしかに賢そうな感じだし、荷台でじっとしてられるんだから、優秀なんだろう。
そのうち森が近づいてきて、車が停められた。
「お、みんな来てるな」
お姉さんの視線を辿ると、何台かの車が森の脇に停められてる。
「全部……仲間、なんですか?」
「ああ。最低でもこのくらいは居ないと、狩れないんだよ」
ちょっと面白そうだな、と思った。前線で敵の追跡なんかはやったことがあるけど、こういう狩りはやったことがない。
「興味あるんなら、あんたも来るかい?」
「え、でも……」
興味はある。やってみたいとも思う。けど、きっと足手まといだ。
そんなあたしを見て、お姉さんが笑った。
「シエラの子なら、何とかなるさ。実際イマドも、たまに一緒にやるしね。てかあんた、イマドの話じゃ首席なんだろ? なら大丈夫」
「そう、ですか?」
そこまで言ってもらえるなら、参加してみようか?と思った。
「あの、きっとあたし、後ろからついてくだけで……」
「ああ、ぜんぜん構わないよ、それで。音立てないのと、こっちの言うとおりにだけしてくれればね」
それなら、あたしでも十分出来そうだ。
「じゃぁ、えっと、お願いします」
頭を下げる。
「よーし、決まり。イマド、おまえも来るだろ?」
「そりゃ行くけど。つかヘイゼル姉、そんなにルーフェイア独り占めしたいのか?」
「当たり前じゃないか」
なんか……ふつうじゃ考えられないような会話が、続いてる気がする。
そもそも、あたしなんかを独り占めして、どうするんだろう?
「姉貴、ネミが怒るぞ」
「あとでお菓子でも買ってやるさ」
あっさり言うお姉さん。たしかにネミちゃん、それでご機嫌は直りそうだけど……いいんだろうか?




