Episode:09
「船長さんに……訊いてみる?」
「んだな」
連絡するために、イマドが通話石で呼んでみる。でもいつまで経っても、応答はなかった。
「何か、あったのかな」
「いや、魔力が干渉してるんじゃねぇかな。何かヘンなふうになってっから」
「見えるんだ……」
いったいイマドにはどんなふうに、世界が見えてるんだろう?
便利そうだなと思いながら、あたしはもう一度魔方陣を覗き込んだ。
けして構成は難しくない。外側から二重に、よくある魔力を呼び込む陣。中央に炎系の陣を配しただけのものだ。
「――え?」
炎っていうのは、何かおかしくないだろうか。誰が置いたか知らないけど、ここは部屋の中で、しかも何かあったら危険な海の上だ。
よく考えてみる。
部屋の中に炎の魔方陣は、明らかに危険だ。時間が経つと火事になる部屋なんて、居られたもんじゃない。
だとすると、部屋に備え付けのものじゃなくて、誰かが置いたんだろう。
――でも、何のために?
もう一度、魔方陣を見てみる。
外側の2つは、やっぱりありふれたものだ。それなりに高度な配置は取っているけど、けして珍しいものじゃない。
問題は中央部分で……。
「お前これ、分かんのか?」
「あ、うん、だいたいは」
そういえばシエラの授業じゃ、魔方陣はまだ初歩をやっただけだ。だからイマドには、いまいち分からないんだろう。
「文字は真音だよな。えーっと、何の呪文だこれ」
「呪文っていうより、磁場……みたいなもの?」
イマドがなぜか、嫌そうな顔になった。
「そなのか。なんつーか、呪文ともまた違うから、ワケわかんねーな」
魔法は、今までに四つのパターンが生み出されてる。
いちばん最初はイマドみたいな人だけが使ってた、魔力を意思で直接操るやり方。これはすごく効率がいいけど、持って生まれた素質ですべて決まる。
次に出来たのが、祈りや舞い、歌による方法だ。精神を集中して祈ったり舞ったり歌ったりすることで、効果を得る。ただこれも素質に左右される上、得手不得手の差が大きかった。
三つ目に生み出されたのが、あたしがいちばん得意な、呪文で発動させるものだ。伝えられていた歌や祈りから、魔力を操る「音」が発見されて体系化され、今の形になってる。
そして最後に出来たのが、この魔方陣だった。




