表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/182

Episode:86

「頻繁にって姉貴、ケンディクからここまで、どんだけかかると思ってんだよ! 長い休みじゃねぇと、来られねぇっての」

「なら、ここへ住めばいいじゃない」

 最初はお弁当のはずだったのに……どこまで話がそれていくんだろう。


「ここからシエラまで、通えねぇだろ」

「あらでも、学校はここにだってあるでしょう?」

 瞬間、イマドの表情が変わった。


「――姉貴、黙れよ」

 初めて聞く硬い声。けどそれでもお姉さん、平然とした顔だ。


「どうしたの? イマドったら怖い顔して」

「しらばっくれんな」

 本気で怒ってる……と思った。こういうイマドは、あたしは見たことない。


「姉貴だろ、おじさんにいろいろ吹き込んでやがんの。シエラの噂とかも、あることないこと言っちゃぁ、こっち来させようとしてるよな?」

「あら、あたしは何も」

「俺に、嘘が通ると思ってんのか?」

 すっ……とイマドが詰め寄った。


「ンなことすんなら、俺は二度とここ来ねぇ。理由も全部、おじさんにバラす」

 さすがにお姉さんが青ざめる。どうやら裏で、それなりにいろいろやってたらしい。


「わ、私はあなたのことを思って……だってあんな学校、ふつうじゃないでしょう?」

「勝手に横から、人の人生決めてんじゃねぇよ! てーかアンタ、俺がシエラ行ったときも親父が死んだときも、なんかしてくれたのか?」

 お姉さんが押し黙った。

 イマドが他のお姉さんたちも見回す。


「ヘイゼル姉もユーニス姉も、ヘンなことすんなよ」

 けど下のお姉さん2人は、けらけらと笑い出した。


「あー、あたしはなんもしてないよ。てーかね、そんなことしたってイマド、アンタが言うこと聞くわけないだろ」

「そうそう。だからムリだって、アネット姉に言ったのに。アネット姉はいい子だから、そーゆーのって分かんないんだろうけど、あたしなんてはねっ返りだからねー」

 どうやらこの姉妹、性格だけじゃなくて考え方もかなり違うみたいだ。ただどちらかというと、下の2人が割と近いんだろう。


「これで分かったでしょ、アネット姉。そういうの、ムリなんだってば」

「んだね。人なんて自分で決めたことっきゃ、納得行かないもんだよ」

 妹2人がお姉さんを説得にかかる。


「でもほら……お父さん、イマドを跡継ぎにしたいって……」

 さっきバスの中で会ったおばさんも言ってたけど、イマドはけっこう勉強が出来るから、そう思う人が多いみたいだ。


 ――ちょっと、分かるかも。


 たしかにシエラなんていうところに小さい頃から居て、就職先もそういう関係になるよりは、お医者さんのほうがいいと普通は思うだろう。

 ただそれが、本人のやりたいことや面白いと思うことと、一致するとは限らないわけで……。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ