Episode:83
「あはは、凄くない凄くない、地方紙だものー。この辺周って、あそこの特産品がおいしいだの、ここの夜鳥が窓にはまっただの、そーゆーのばっかりよ」
からからと笑ってるお姉さん、楽しそうだ。きっと新聞記者って職業が、気に入ってるんだろう。
「あ、そうそうイマド、ヘイゼル姉さん来るって。あとアネット姉さんも、ネミと一緒に来るって言ってたわよ」
「げ、総出かよ」
イマドがおかしな声を出す。
「いったい俺、何人分作りゃいいんだ」
「あー、だいじょぶだいじょぶ。父さん、今日くらいは食べに行くぞ!って言い切ったから」
答えを聞いて、イマドがほっとした顔になった。さすがに着いて早々、山盛りの食事を作るのはイヤだったみたいだ。
「あたしは、イマドの食べたかったんだけどなぁ」
「やめてくれ……」
毎回作らされてる――正確には見かねてつくってしまう――せいか、イマドほんとに嫌そうだ。
「あはは、言っただけよぉ。今日はもうお店に予約入れてるから、心配しないで」
このお姉さん、とても陽気だ。見てるこっちも、なんだか楽しくなる。
「で、今回はいつまで居るの? なんか来るの遅れたから、あんまり居ないって聞いたけど」
「そーなんだよ。ふつうに南回りで来たら、テロの戒厳令にひっかかっちまってさ」
イマドが走竜で来たことなんかをうまく伏せながら、南の状況を説明した。
「で、帰りもこれだと北回りだろ? 時間かかっちまうから、その分早く出ねぇと」
「そっか、残念。でも休み中に帰らなきゃいけないから、しょーがないね」
そんなことを喋ってると、玄関の呼び鈴が鳴った。
「誰か居るー?」
「あ、ヘイゼル姉さん? 開いてるわよー」
声に応じて扉が開いて、また女の人が入ってくる。やり取りから考えて、真ん中の「ヘイゼル姉さん」だろう。
「お、勢ぞろい? あーでも、アーネスト姉さんとこがまだか」
こっちのお姉さんは新聞記者の人と違って、男勝りな感じだ。
もっとも新聞記者のお姉さんも、けっこう行動的な感じだし、その辺の男の人になんて負けてないと思うけど……。
「ほらイマド、ちょっと手伝いなってば。農場から野菜持ってきたんだ」
「また山盛りかよ……」
イマドがため息をつく。
「つーかヘイゼル姉、俺今回、そんなに居ねぇぞ? なのにそんなに持ってきてどーすんだよ。おばさんじゃ料理出来ねーし」
「あん? おまえ今回、そんなちっとしか居ないのか?」
みんな個性的過ぎて、なんだか見てると目が回りそうだ。




