Episode:08
「おし、んじゃ行くか」
「うん」
荷物をまとめて、部屋に向かう。
イマドが心配だったけど、別に変わった感じはなさそうだった。彼の言うとおり、防御魔法が効果的に働いてるんだろう。
扉の前で立ち止まる。
「……開けて、いい?」
「あぁ」
確認してからそっと開けたけど、それでもイマドは平気そうだ。
ほっとしながら、中へ入る。でもこういうのに疎いあたしには、何も感じられなかった。
「どこ……?」
「んー、ちと待ってな」
イマドもさすがに用心しながら入ってきた。
「やっぱ防御魔法使うと、イマイチはっきりしねーな」
そんなことを言いながら、部屋を見回してる。
「あ、そこのベッド辺り。他よりちっと濃いわ」
「ほんとに?」
答えながらあたしは掛け布団をめくってみたけど、それらしきものはなかった。
「あれ、ヘンだな。間違いなくそこなんだよな」
「じゃぁ、この下?」
毛布、シーツ、マットレスと見て、最後にベッド下を覗き込む。
「あ……」
首を突っ込んだ先には、確かに魔方陣があった。
「こいつが魔力集め始めたから、やられたんだな」
「え、じゃぁこれ、動いてるの?」
あたしには、その辺の見分けは全くつかない。発動直前だと淡く光りだすから分かるけど、それまではどれも同じようだ。
ただこういう魔方陣、動いているのをうっかり壊すと、暴走してとんでもないことになったりする。
「処理、どうしよう……」
動いてるんじゃ、迂闊に触れない。専門家が必要だ。だけどここは海の上だから、そう簡単には呼べない。かといって放っておけば、イマドがこの部屋に入れない。
けど彼が気にしたのは、もっと別のことだった。
「それよか、こんなとこにこんなもん、何であるんだ?」
たしかに、こんなところに魔方陣なんて必要ない。もし魔力炉が必要だとしても、客室の中に置くなんてことはないだろう。
「船長さんに……訊いてみる?」
「んだな」
連絡するために、イマドが通話石で呼んでみる。でもいつまで経っても、応答はなかった。




