表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/182

Episode:79

 イマドが笑う。

「お前、自己評価低すぎんだよ」

「そお……?」

 自分ではそうは思えないけど、イマドが言うんだから、ちょっと考えたほうがいいかもしれない。

 そんなことをしているうちに、列車がスピードを落とした。景色の動きが、だんだんゆっくりになる。


「荷物、これで全部だよな?」

「うん」

 元々が少ないから、持ち運びは楽だ。それでも忘れ物がないか辺りを確かめて、最後にあたしはバッグを肩にかけた。

 列車が止まる。


「あー、やっぱちっと寒いな」

「そうだね」

 久しぶりに降り立った駅は、ケンディクよりはちょっと寒かった。1枚多く着た方がいい感じだ。

 でも、空気はいい。潮風のケンディクとはまた違う、思わず深呼吸したくなるような澄んだ風だ。


「行くか。バス来てっし」

「うん」

 駅前に止まってたバスに乗り込む。さほど大きい町じゃないから、バスの運行なんかも列車の時刻に合わせてだ。

 イマドの叔父さんの家は、ここから歩いて行けないほどじゃない。でも荷物があるうえバスが来てては、わざわざ歩く気にはならなかった。


「あれ、ザニエス先生とこの坊やじゃないか」

「あ、ども」

 坊やと言われてちょっと微妙な顔をしつつも、乗り合わせた人にイマドが挨拶する。

 イマドの叔父さんはお医者さんだ。だからこの町じゃ知られていて、そこの一人息子扱いされているイマドも、同じように知られていた。


「シエラから里帰りかい? ほんと先生に似て、出来るねぇ」

「別にそういうんでも……」

 イマド自身はおばさんの言うとおり出来るのに、あんまり言いたがらないのは面白い。

 そのおばさんの視線が、あたしに向いた。


「あれ、可愛い子だねぇ。あれかい、彼女かい?」

「え、あ、いや、えっと……」

 おばさんが笑い出す。


「いいんだよ、別に隠さなくたって。大人しそうでいい子じゃないか。あれだね、先生に見せに行くんだろ」

「いや、だから……」

 イマドが必死に言おうとするけど、おばさん何も聞いてない。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ