Episode:74
「何なんですか?」
「だから、えーと、シルファなんだ」
「――え?」
内容がいきなり過ぎて意味不明だ。
「シルファって……シルファ先輩、ですか?」
まぁそれしか思い当たんねぇけど。
先輩のほうは、下向いて黙っちまった。
「えーと、クーノ先輩?」
訊くと小さい声で、下向いたままブツブツなんか言ってるし。
けど隣で、ぽんと軽く手叩いて、ルーフェイアが「分かった」って顔をする。
「シルファ先輩、元気です。あと、去年はありがとうございました」
先輩に負けず劣らず脈絡がない気がすっけど、これが意外にも通じた。
「そうか、元気か。どうしてる?」
「えっと……そうですね、任務とか、当番とか」
要するにこの先輩、シルファ先輩の近況が知りたかったっぽい。
「相変わらず任務なのか。怪我でもしてなきゃいいんだが」
「あ、してないです」
ルーフェイアのほうはなんか勘違いしてそうだけど、とりあえず会話は成り立ってる。
「かなりしょっちゅう、行ってるかもしれないです。月に……1~2回?」
「多いな。バテたりしないといいんだが」
クーノ先輩の言うとおり、月に2回も出るのは多いほうだ。
しかもシルファ先輩の場合、聞いた話じゃ、ほとんどタシュア先輩とペアらしい。内容は護衛か魔獣退治、たまに偵察だろうけど、それなりにハードな部類だとは思う。
ただルーフェイア辺りが言うにゃ、シルファ先輩、タシュア先輩とのペアがダントツ多いとか。
そうなっとタシュア先輩の能力が半端ねぇし、何よりタシュア先輩、シルファ先輩にケガさせるようなマネだけはしねぇし。
あの2人相性もいいから、案外案外楽にこなせてそうだ。
「バテたりは……ないと、思います。この間もケーキ、作ってました」
「腕を上げてそうだな」
先輩、けっこう根掘り葉掘り訊くし。つかルーフェイアも、シルファ先輩のこと意外と見てる。
つかこれどう見てもクーノ先輩、シルファ先輩に気があるとしか。
「彼女もせっかく才能があるんだから、店でも開けばいいものを……」
「あ、おいしそうですね」
ルーフェイアの頭ン中は、絶対今ケーキでいっぱいだ。食べ物音痴のコイツだけど、ケーキ類だけは教わる機会が多いせいか、このごろだいぶ覚えてきてる。
まぁ肉が生だの騒ぐのは、相変わらずだけど……。




