Episode:07
だいいち、船に魔力炉ということ自体がおかしい。ただでさえ「海」という隔絶された場所へ出るのに、あんな面倒で不安定なものを備えるなんて、自殺行為もいいところだ。
同じ出力を出すだけなら、簡単で安全な魔力石を、たくさん並べれば済む。
「じゃぁ、なんだろう……?」
「わかんね。でもとりあえず、ここに居りゃ平気だし」
いつものことながら、イマドはいい加減だ。深刻になるってことがない。
でも、今はそうも言ってられないんじゃないかと思う。このまま部屋へ入れなかったら、夜寝るところがない。
「あたし、見てこようか……?」
「見るって、お前、見に行って分かんのか?」
ずばりと言われる。
あたしはイマドと違って、魔力の流れなんかには鈍感だ。扱うほうはけしてヘタじゃないと思うし、殺気なんかも分かるのに、どうもこれは分からない。
だからイマドの言うとおり、部屋に行ったからって分かるとは限らないのだけど……このまま何もしないじゃ、居られなかった。
「んじゃ、一緒に行こうぜ。俺なら分かっから」
あっさり言って、彼が立ち上がる。
「待って! だってそれじゃ!」
「お前が居りゃへーきだって」
思ってもなかったことを言われて、急に身体が火照ってくる。あたし、どうしたんだろう?
「お前、魔法防御のヤツできっだろ? あれ唱えといてもらえば、どうにかなるかんな。どうしてもヤバきゃ、最強防御魔法使ってもらって逃げ出しゃ――どした?」
「う、ううん、何でもない!」
口ではそう言いながら、内心少しがっかりした。一緒って、そういう意味だったらしい。
ただ何を期待してたのかは、自分でもよく分からなかった。
「さっさと片付けようぜ。何か俺も、ちっと癪に触るし」
イマド、一見気にしてないようで、けっこう引っかかってたみたいだ。
「待って、先に魔法。――ルス・バレーっ!」
慌てて引き止めて、呪文を唱える。
「サンキュ。やっぱ違うな」
あたしには分からないけど、イマドにはこれだけで、かなり違うらしい。
なんとなく興味が湧いて、訊いてみる。
「どこが……違うの?」
「んー、そだなー」
感覚が分からないあたしには、伝えづらいんだろう。少し考え込んでから、彼が口を開く。
「素手じゃなくて、薄い手袋して何かする感じったら、分かるか? その分熱いものとか触れっけど、細かい作業はムリっていうか」
「そうなんだ……」
あたしも、素手で太刀はふるえない。けど熱いものや危ないものは、何かで肌を守ってから触る。それと同じなんだろう。




