Episode:66
「仲良くて。若いっていいねぇ」
「えーと、そういうんじゃなくて……」
なんかがっくり力が抜ける。
「こんな年寄り相手に、照れなくていいんだよ。みんな若いころはそうだったんだから」
「いや、だから……」
なんでオトナってのは、すぐこーゆー方面へ持って行きたがんだか。
「あぁアレだね、じゃぁ年寄りはあっちへ行くよ」
「だから、違うんですってば」
さすがにちょっと声が大きくなる。
「この炎石直すのに、コイツの魔法が要るんですよ」
「え? あれ、そうだったのかい。やぁだねぇ、年取ると早とちりするようになって」
年と早とちりは関係ないだろ……と思ったけど、さすがに口には出さなかった。ンなこと言ったら絶対、余計にややこしくなっちまう。
「それにしても今、直すって言ったかい? やれ驚いた、都会の子は炎石が直せるのかい」
また盛大な誤解するし。
都会に住んでるってだけで炎石が直せたら、石屋は廃業だ。つーか魔道具売ってる店のほとんどは、半分はこういう修理で食ってる。なのに誰でも直せたら、商売上がったりになっちまう。
「えーとだから、俺らシエラ生なんですよ。んで、先輩がここにいるんで来たんです」
「あー、はいはい、あの先生さまの知り合いだったんかね。どうりでしっかりしてると思ったよ」
やっぱ何か違う……とは思うけど、黙っとく。もう説明するのも面倒くせぇ。
「ともかく、ここの流しちっと借りますね。それでとりあえず直るんで」
「はいはい、どうぞどうぞ。いやさすがに、あの医者さんの後輩だねぇ」
なんか意味不明のこと言ってるばぁちゃんは置いといて、作業にかかる。前のときとおんなじで、片方の手でコイツの腕掴んで、反対の手に魔石を持った。
「いちばん威力弱いやつな」
「うん、わかってる」
ルーフェイアのヤツが深呼吸して、魔法を唱える。
「フー・ルヴァレ!」
呪文に反応して、均一に存在してた魔力の一部が一点に集まった。そのパターンを、石に伝える。
その間に流しの中じゃ、小さい炎が上がって、ゆっくり消えてった。
「えっと……出来た?」
「たぶんな」
余波が消えた魔力石を開放してみっと、予想通り炎が上がった。
「すごい……」
「そか?」
こいつらに言わせるとトンでもないことらしいけど、俺にとっちゃ片手間仕事だから、正直実感ねぇし。




