表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/182

Episode:64

「あれ、あんた、たしか……」

「えっと、去年はお世話になりました」

 ぺこりとルーフェイアが頭を下げて、金髪が流れ落ちた。


「いや、そりゃこっちが言うことさね。それにしてもアンタ、どうなさったよ、こんな時間に」

「あの、それが……」

 ルーフェイアがこっちを指し示す。


「あんれ、連れが居なさったかい。それも走竜なんて、山でも越えて来たかね」

「あ、はい、そうです。それでいま、風の丘から……」

 地元民のばあちゃん、これだけでだいたい話が通じたらしい。


「そりゃ大変だったねぇ、あの道を走竜で超えるなんて、よっぽどの事情だろうに。ささ、ともかく上がんなさい」

 ばあちゃんが俺達を招き入れた。


「走竜はほら、とりあえずその辺の柵にでも繋ぎなさって――あれ、こちらの方はどうされたね」

 おばさんの様子に気づいて、素っ頓狂な声を上げる。


「あの、途中に軍が居て、撃たれたんです。それで行き先変えて、ここまで……」

「そりゃ大変だ、すぐ医者さん呼ばんと。あんた、あんた!」

 ばあちゃんが大声上げて、家の中へ駆けてった。

 なんだか中でまた声が聞こえて、今度はじいちゃんが出てくる。


「おぉ、お嬢ちゃん、どうしたかね。お連れさんが怪我したと聞いたが……」

「はい。あの、それで、クーノ先輩……じゃなくて、お医者さんを」

 じいちゃんが頷いた。


「すぐ呼ぶよ。その調子じゃ、熱もありそうだね」

 優しい感じのじいちゃんだ。この調子で、村の人の面倒見てんだろう。


「連絡してくるから、家に入ってなさい。お前、この人たちに休む場所を」

「ええ、ええ。すぐ用意しますとも。ささ、こちらへどうぞ」

 こんな夜明け前なのに、すぐに手足を洗う水やら、飲み物やらが用意される。ものすごい手際の良さだ。


「すみませんね、こんな残り物しかなくて。昼にはもう少し、マシなものを用意しますから」

「いえ、十分です」

 あったかいお茶にパンとスープまで出されて、そんでも文句言うやつとか、食うんじゃねぇって思うし。


「ささ、そっちの方はとりあえず、ここに寝てくんなまし。ベッドじゃなくて申し訳ないです」

「いえ、こちらこそ申し訳ないですよ……こんな時間なのに」

 そういうおばさんに、ばあちゃんが手を貸してソファに寝かせる。


「何言ってますか。子連れでここまで山越えて来るなんて、並大抵じゃないでしょうに。お子さん預かるから、ゆっくり寝なさいな」

「助かります……」

 よっぽど安心したんだろう、言うが早いがおばさん、たちまち眠り込んだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ