Episode:55
「んじゃ、早く出ようぜ。もたもたしてたら、そんだけ不利になっかっらな」
「そうだね」
イマドの言葉に、みんなで出発の準備にかかる。
「おばさん、一人で走竜乗れます?」
「バカにすんじゃないよ、坊や、このくらい……」
行っておばさんが立ち上がろうとしたけど、途中で膝をつく。まださすがに、立つのは辛いんだろう。
「んー、これじゃ手綱取れないですね」
イマドが少し考え込んで言った。
「おばさんと俺で、走竜交代するっきゃねぇな。あいつなら手綱ナシでも、ついてきてくれるし。んで、チビはジマリさんのとこか?」
「うん、それでいいだろうね。キミは2頭扱うわけだから、さすがにバティス君まではムリだと思うし」
話がまとまったみたいだ。
「んじゃ、おばさん走竜に上げねぇと……上がっかな?」
「あ、待って」
イマドを止めて、おばさんにあたしは言った。
「あの、少し……動かないで、ください」
そう言いおいてから、魔法をかける。
「――セレスティアル・レイメントっ!」
「何……したんだい?」
不思議そうなおばさんには答えず、その身体に手をかけた。何が起こったのかは、実際に分かってもらうほうが早い。
「立って、もらえますか?」
手を貸しながら言うと、おばさんがもう一度立ち上がった。
「え、あ、あれ? なんだ、やけに身体が軽いじゃないか」
「ええ。魔法で……一時的に、軽くしました」
負担が減れば、身体は楽になる。だからこれなら、少しはマシなはずだ。
「乗れますか?」
「ああ、何とかね」
けどそう言いながらも、おばさんはまだ辛そうだった。
見てたイマドが言う。
「んー、申し訳ないですけど落ちないように、軽く縛ったらダメです?」
「イマド、それは……」
理には適ってるけど、やっていいかどうかは別問題だ。
でもおばさんが遮った。
「構わないよ。万が一落ちたらそれこそ大怪我で、死ぬコトだってあるしね」
さすが遊牧民の出身だ。言うことがふつうの人とは違う。
「ジマリ、あんたロープの使いかた、知ってるだろ? やっとくれ」
「あ、はい」
ジマリが言われて前へ出た。




