Episode:50
「行ける?」
走竜に飛び乗りながら訊く。
「は、はい」
焦ったような答えは無視して、あたしは命じた。
「林の中を探して。あと、ぜったい林の外へ出ないで。それからもし敵を見かけたら、隠れてやり過ごす、いい?」
「わ、わかりました!」
ジマリも走竜に飛び乗って、林の中を走り出す。
その後姿を見送りながら、あたしは林の外へと出た。
――急いで見つけないと。
合流して林の中へ隠れないと、命の保証が無い。万が一先に向こうに見つかったら、ロジーヌさんもバティス君も終わりだ。
闇の中、目を凝らしながら2人を姿を探し回る。
イマドが居ないのが辛かった。彼ならこういうとき、即座に探し出してくれるはずだ。
でも逆に言うと、それだけ頼りきってることになる。あたしだけじゃ探し出せないなんて、能力不足もいいとこだ。
けど今はそんなことより、早く探し出さないと……。
「おい、どした」
「イマド?」
後ろから、いちばん望んでた声が聞こえた。
「走竜放して走り回って、何があった」
「ロジーヌさんと、バティス君が……」
全部言わないうちに、イマドが答えた。
「来い、おばさん撃たれてやがる!」
「――え?!」
最悪の事態だ。
「こっちだ、来い」
走り出したイマドの走竜を、慌てて追いかける。
少し行ったところで、イマドは走竜を林の中に入れて止めた。
「おばさん!」
倒れてる人影は、どう見たってロジーヌさんだ。
走竜を止めて、急いで駆け寄った。
「おばさん?」
「ん……あ、あんたたち……」
息はある。暗くてよく確かめられないけど、ともかくまだ諦めるには早い。
「喋らないでください。応急手当しますから」
言いながら、イマドと2人がかりで仰向けに――太ってるから大変――して、回復魔法をかけた。
「……どうですか?」
「あ、うん、だいぶ……楽になったよ」
この感じなら、命だけは助かりそうだ。




