Episode:48
「あれは……」
「見回りだと思う」
道もないような場所だ。来るとしたら地元の人くらいだろうし、それだって夜には来ないだろう。
茂みの奥で、息を潜めながら車を見守る。
近づいてきた車は案の定、目立たない色の軍用車だった。
「こんなところまで」
「え? だってここ、ルート……なんでしょ?」
ジマリが何を言っているか分からない。
「何のルートですか?」
「えっと、だから、レデのルート……」
ここまで言ってようやく、ジマリが「ああ」と声をあげた。
「えぇ、確かにそうです」
「しーっ!」
声が大きい。隠れてることが分かってないんだろう。
「ともかく、静かに。集声機使われたら、見つかるから」
この辺がやっぱり素人だ。最悪のことを考え付かない。でも幸い、気づかれなかったみたいで、車が通り過ぎていく。
ほっと息を吐いた隣で、ジマリが立ち上がる。
「良かったですね、お嬢様」
「だめっ――!」
車が少し行った先で急停止した。
「え……」
「隠れて!」
言いながら、代わりにあたしは立ち上がる。
通り過ぎたからといって、こっちを見てないわけじゃない。動くのは、行き過ぎてからじゃないと危険だ。
けどジマリはそれを知らなくて、立ち上がってしまったから……。
「ルーフェイア、こっち任せろ、行け」
「わかった、お願い。ジマリ、走竜のところへ案内して」
「あ、はい」
走り出したあたしたちの後ろ、少し遠い位置から爆発音がした。「車が!」とかいう怒鳴り声も聞こえる。
「あの、お嬢様、何が……」
「分からない。でもたぶん、イマドが魔力暴走させたんだと思う」
素手であの距離でイマドができるのは、それしか思いつかない。
よほど原始的なものならともかく、今使われてる機械のほとんどは、どこかに魔力石を使ってる。
車はその最たるもので、動力にかなり大掛かりに、炎石とそれに魔力を供給する魔力石が、幾つも使われてた。




