Episode:47
そんな話をしてるうち、ジマリが戻ってきた。
「お二人とも、お疲れですか?」
「うん、大丈夫。走竜は置いてきたの?」
離れたりして、いいんだろうか?
けど彼からは、予想外の答えが返ってきた。
「いえ、その、お二人が付いてこられなかったので……」
「え?」
走竜を任せるのはいいとして、あたしたちも一緒に行かなきゃいけなかったみたいだ。
――これで、大丈夫かな?
ちょっと心配になった。
付いて行かなかったのは、あたしのミスでもある。要するに確認不足だ。ただそれが、ここまで傷口が広がってしまったのが、気がかりだった。
分散してはいけないときに、分散する。あるいは密集してはいけないときに、密集する。
戦場じゃトップクラスに危険な行動で、早い話、一番必要な「意思の疎通」が取れてないことを意味する。そういう状態で、軍の監視網をかいくぐって逃避行なんて、死にに行くのと同じだ。
ただよく考えてみれば、ジマリは遊牧民のレデ出身で、生粋のシュマーじゃない。戦闘訓練なんてほとんど受けてないはずだ。
だったら慣れてるあたしのほうが、考え方を変えるべきだろう。
「どこかで、野営するの?」
「いえ、少し休んだらまた出ます。朝までに距離稼ぐので」
最初の予定通り明るい間は休んで、明日の夕方また出るみたいだ。
「ロジーヌさんたちは?」
「あ、えっと、このすぐ先の空き地で。ちょうど草もあったので」
「わかった。行こう」
立ち上がる。
イマドも一緒に来て、ジマリを先頭に林の奥へと入ろうとして……。
「隠れろ!」
イマドの声にあたしはすぐ動いたけど、ジマリが動かなかった。
「こっち!」
小声で言って強引に手を引いて、茂みの影へと倒れこむ。
「お、お嬢様、こんなところではダメです」
「……え?」
何を言ってるんだろう。
「ですからお嬢様、自分とでは、じゃなくて、ここではその――ひっ」
まだ何かバタバタと騒ぐジマリを、太刀を半分ほど抜いて黙らせた。今動いたら、大変なことになる。
少しして、車がこっちへ向かってきた。前方につけられた魔光灯が、辺りを照らし出す。




