Episode:03
手近な棚に荷物を置いて、見回す。
船の中とは思えない広さの部屋は、2つに分かれていた。置いてあるものから見て、入ってすぐがベッドスペース、海に面した奥が居間だろう。
――もったいないかも。
ドワルディが気を遣ってくれたのは分かるけど、どうせ船の中で1泊するだけだ。床があって屋根があって、毛布があってご飯が食べられれば、十分だと思う。
「メシは?」
「えっと……訊かないと……」
そういえば、何も説明がなかったな、と思う。たしか大抵は食堂へ行くはずだけど、この船も同じだっただろうか?
誰に訊こうとしばらく悩んだあと、船内連絡用の通話石を見つけて押してみた。
すぐに応答がある。
「何のご用でしょう?」
「えっと、すみません、いろいろ伺いたいんですけど……」
けど、向こうの様子が何か変だ。驚いて騒いでる気配がする。
「……あの?」
「あ、申し訳ありません、今すぐ向かいますので、少しお待ちください!」
イマドと2人、顔を見合わせた。
「なんだろ……?」
「まぁ、待ってりゃ分かるだろ」
それもそうだと思って、そのまま部屋で待つ。
でもドアがノックされたのは、「少し」と言うにはちょっと長い間、待たされた後だった。
「この船の船長です」
「あ、はい」
慌てて開ける。
外に立ってたのは、いかにも船長という感じの、立派なヒゲの人だった。
「大変申し訳ありません、手違いでお迎えが間に合いませんで」
「あ、そうだったんですか?」
どうりで何も、説明がなかったはずだ。
大型の連絡船だと、いい部屋のお客には出迎えが着くことがある。だからこの船も、そのタイプだったんだろう。
さっきの騒ぎはきっと、あたしたちがそれに気づかずに、さっさと乗り込んでしまったせいだ。
「なんか、あの、すみませんでした……」
「いえいえいえいえ、こちらこそ社の方から、くれぐれもと言われておりましたのに」
船長さんの言葉に、ちょっとため息をつきたくなる。
ドワルディ、気を遣ってくれるのはいいのだけど、けっこう老獪だ。今回もあたしが乗るものだから、きっとシュマーの持つ会社のどこかを通したんだと思う。
迷惑になってないといいのだけど……。




