Episode:28
お姉さんのほうは、意味ありげなニコニコ顔だ。まぁ、思いっきり意味あるワケだけど。
「そうね、話が出来る程度には知り合いかな? で、通してくれる?」
兵士が銃を降ろす。
「分かった、行け」
「ありがと。隊長によろしくね」
ウインクして通り過ぎるお姉さん、そうとうの食わせモンだ。
「隊長さんたちと、知り合いだったんですか……?」
少し行ってから、無邪気にルーフェイアが訊いてきて、またお姉さんが答えに詰まった。
「えーと、知り合いっていうか、うーん、あ、お客ね、お客」
「あぁ、バーの」
カンペキ勘違いなのに、会話が成立してるあたりがすげぇ。
ただ幸いその後は、とりたてて問題なかった。思ってたよりすんなり、目的の住所にたどり着く。
「ここよね?」
お姉さんに訊かれて、ルーフェイアのヤツが自信なさそうに答える。
「たぶん……」
「たぶん、ってちょっと。ここじゃなかったの?」
瞬間、ルーフェイアが身すくませた。まるで怒られた仔猫だ。
「す、すみません」
「え? あ、ちょっと、そんな顔しないでよ」
奥義、泣きそうな美少女発動。これやられたら、まぁほとんどの連中は焦る。
お姉さんももちろん、うるみだしたルーフェイアの瞳に大慌てだ。
「ね? 泣かないで。ここでいいんでしょ?」
必死になだめてるけど、これで泣くのが止まりゃ世話ねぇわけで。
たださすがにちょっと気の毒だから、横から口出すことにする。
「ルーフェイア、メモ出せ」
「あ、うん」
言われて素直に、コイツがメモ出した。
「どれどれ、ちょっと貸してね……うん、やっぱりここね。ごめんくださーい」
お姉さんがいきなり、ドアを叩いて声をかける。こんな無造作にやって、だいじょぶか……って思ったけど、中から人の出てくる気配がした。
最初は用心深く、少しだけドアが開けられて、すぐ全開になる。
「リオーネじゃないか! 僕に会いに来てくれたのかい?!」
「やだ、ここジマリの家だったの?!」
このお姉さん、こともあろうにシュマーのヤツと、知り合いだったらしい。つか、たぶん客の一人だ。
出てきた野郎は、けっこう若い。ってもシュマーの連中の場合、だいたい年より上に見えっから、俺らと大して違わない可能性はある。




