Episode:25
「でも、こんなことしてたら、いつかお金が」
「あー、それなら大丈夫」
意味ありげな笑顔。まぁ、分かっけど。
「大丈夫って……?」
「そそ、大丈夫なの。だってあたし、連中が身代金って言って取ってったお金、巻き上げてるわけでしょ? その意味じゃこーゆー仕事、悪くないわ」
当たり前だけど、ルーフェイアのヤツは不思議そうな顔だ。
「兵士から、お金をもらう仕事……? 夜に……?」
かなり真剣に考え込んでるし。
「えーとほらだから、うん、相手するのよ」
「あぁ、お酒とか」
ルーフェイアのヤツ、口じゃ当たらずとも遠からずって感じのこと言ってるけど、見事に間違ってる辺りがすごい。
「あ、そうそう。そういうお酒とか。飲ませて話し相手してね」
「バーみたいなものですね」
訂正は……やっぱ、しねぇほうがいいだろう。つか訂正したとこで、分かるかどうかも怪しいし。
「そそ、そういうこと。で、連中はあたしにお金払ってく。それをあたしが、身代金要求された人に回してんの」
かなり歪んだ経済活動だ。ただこれ否定しちまうと、人死にが出るから手がつけらんねぇ。
ルーフェイアが下を向いた。
「それってやっぱり、おかしいですよね……」
「そうね。絶対おかしい。でもこうでもしないと、生きていけないの」
とんでもない状況に放り込まれてるのに、やたらと静かな口調。半分は諦めも入ってんのかもしんない。
沈んだ部屋の中、お姉さんが笑顔を作った。ルーフェイアのおふくろさんにちょっと似た感じで、色気抜群だ。襲われても文句言えねぇ。
まぁこの人じゃ襲われても、手玉に取るだけって気はすっけど。
「深刻な話しちゃってゴメンね。ささ、お茶飲みましょ」
言って座って、自分からカップに口つける。
ルーフェイアのヤツも口つけて、目を丸くした。
「すごい、おいしい……!」
こいつが味褒めるなんて、明日は雪かもしんねぇ。
「ふふ、そうでしょー。この辺で飲まれてるの。香草をちょっと入れるのよ」
俺も飲んでみたけど、けっこう不思議な味だ。ふつうのお茶っぽい色なのに、柑橘系の香りがする。
「まぁこの辺じゃ、どこの庭にも生えてるけどね」
「でも、おいしいです」
お茶褒められて、お姉さんのほうはにこにこだ。




