Episode:23
「んー、困ったわね。さすがにすぐには、身動き取れないし。2、3日あれば、何とかできるかも知れないけど」
「そのくらいなら、何とか」
シエラの春休み、分校から新入生が移動したりする関係で、案外長い。だから2、3日なら、どうにかできるだろう。
「とりあえず、落ち着くまでじっとしてたほうがいいわ。泊まる場所、アテはあるの?」
「ええ、一応」
シュマーの関係なら、いきなり行ったって大丈夫なはずだ。
「お前、知り合いんち、どこだ?」
「えっと、たしか……」
ルーフェイアがポーチさぐって、メモ帳をめくり始める。
「……あ、ここ」
「ちょっと見せてね」
お姉さんが、ルーフェイアからメモを受け取った。
「ここから2ブロックくらい先ね。大丈夫、連れてってあげる。でもその前に、お茶でも飲もうか」
中庭に面した戸が開けられる。
部屋は、この人の服の派手さから思えないくらい、さっぱりしてた。簡単な台所と食器棚みたいのが2つ、あとはテーブルに椅子に、壁際のソファだけだ。
「大丈夫、あたしの家だから。まぁ、2階は仕事場兼ねちゃってるけどねー」
「お仕事、してるんですか?」
ルーフェイアのヤツが、無邪気にクリティカルヒット繰り出す。
「えっと、ええ、うん。仕事よ。でもほら、夜がメインでね、昼はヒマなの」
さすがのお姉さんも、しどろもどろだ。
「え、じゃぁ、夜勤ですか? あの、今起きてて……」
「大丈夫大丈夫、夜通し起きてるわけでもないから」
必死の誤魔化しに、ルーフェイアがあっさり引っかかる。
「じゃぁ、大丈夫ですね」
ほっとしたようなニコニコ顔、ある意味最強だ。本気で分かってねぇ。
「さ、そこ座って。こんなだからお菓子ないけど、お茶は美味しいわよ」
お姉さんのほうもほっとしながら、慣れた手つきでお茶淹れる。
けどそのとき、ドンドンと戸が叩かれた。
「リオーネ、リオーネ、居るかい?!」
女の人の声に、慌ててお姉さんが戸を開ける。
転がり込むみたいにして、横にでっかいおばさんが入ってきた。
「ロジーヌさんじゃない、どうしたの?!」
「バティスが――バティスが、連れて行かれちまったんだよ! すまない、金貸しとくれ」
話を聞いたとたん、お姉さん――リオーネっていうらしい――が、棚の引き出しを開けた。
中から無造作に、袋を引っ張り出す。




