Episode:22
「あたしはほら、商売が商売だから、けっこう楽に移動出来るんだけど。でも西側の人はなかなか、外へ出られないのよね。しかもすぐ封鎖されるし」
見たわけじゃねぇからアレだけど、包囲されてるって言っていい状況らしい。
「それだと、食料とかは……?」
ルーフェイアのヤツが心配そうに訊く。
「それはなんとかなってる。兵隊にお金か品物少し渡せば、通してもらえるから」
「腐りすぎだろそれ」
思わず言うと、お姉さんが笑った。
「あなた、なかなかホネあるじゃない。そういう子好きよー。遊んであげようか?」
「……遠慮しときます。なんかヤバそうなんで」
本心言や、ちっとその気もあるけど。でもこういうとこで引っかかると、後でとんでもないことになったりするし。
お姉さんのほうは、なんかツボにはまったのか、爆笑してる。
「いいわぁ、こーゆー子可愛くて新鮮かも!」
こういう言われ方すっと、なんかすげー複雑なんですけど。
間に挟まったルーフェイアのほうは、首かしげてた。
「あぁごめんごめん、お嬢ちゃんには難しすぎたわね」
そう言われて撫でられて、コイツ満足しちまうし。
「で、あなたたち北へ行きたいの?」
「ええ。アヴァンとの国境に親戚が居るんで、ケンディクから行く途中だったんです」
お姉さんが、難しい顔になった。
「列車は止まってるから、難しいかな。いつ再開かも分かんないし」
「んじゃ、車はダメですか?」
俺が言うとお姉さん、肩すくめた。クセらしい。
「そっちも今、ものすごく検問厳しいのよね。食料積んでるのさえ、なかなか通れないくらいよ」
だから品薄だと、お姉さんが付け加える。
「そのうち況変わるだろうけど。それまでは足止めね」
「マジっすか?」
こういう占領地での封鎖騒ぎ、大抵収まるまでに時間がかかる。だから待ってるうちに、春休み終わっちまいそうだ。
「あら、急ぐんだ?」
「急ぐっつーか、俺ら学生なんで、休みの間しか時間が……」
この調子だと、ここから出る船も止められてそうだから、マジで動けねぇし。
おじさんとこ行くの諦めりゃ、新学期には間に合うと思う。けど俺的には、やっぱちょっとルアノン行きたかった。
――墓参りだし。
行かなかったらどうかなるとか、そういうんじゃねぇけど。けど俺が収まりつかねぇ。




