Episode:20
「止まれっ! 全員動くな!」
ムチャクチャ言われる。つかこの状況で動くなとか、逃げるのも救助もダメって言うようなもんだ。
「動いたら撃つぞ……犯人かもしれないからな!」
叫んでる兵士ちらっと見て、ヤバいなと思った。そうとう神経病んでる感じだ。昨日から連続でテロってるらしいから、それでおかしくなってんのかもしれない。
そいつが、ルーフェイアを見た。
「お前……」
こっちへ来る。
何考えてっかは、訊かなくても分かった。
(ルーフェイア、逃げっぞ)
(え、でも……)
(いいから!)
ためらうコイツの手を、強引に引っ張る。
「待てっ、そこっ!」
発砲されたけど、無視だ。まだルーフェイアのヤツが唱えた魔法が効いてっから、当たっても平気だし。
つか正直、正規軍がまさかあんなだとは思わなかった。
考えてたのはある意味単純で、「ルーフェイアが金になるかどうか」だ。
――意味わかんねぇけど。
てか、ルーフェイアがいろんな意味で金になるってのは、俺でも分かる。けど、正規軍がンなこと考えるのが分かんねぇ。これじゃただの追いはぎか山賊だ。
後ろから何人か追いかけて来てるっぽいけど、振り向かねぇで通り走り抜ける。
「こっち!」
建物の影から知らねぇお姉さんが俺らを呼んで、とっさにそこへ滑り込んだ。
「あいつらから、逃げてんでしょ。ついてきて」
たったこんだけで俺らの立場理解するとこみると、マジでこの町の正規軍、とんでもねーんだろう。
建物と建物の隙間、複雑に入り組んだ中を抜けて、最後にどっかの庭へ着いた。
「ここまで来れば大丈夫。で、何したの?」
「何も……」
あれで何かしたってんなら、歩くのも息するのもアウトだ。
とりあえず状況を説明すっと、お姉さんがうなずいた。
「確かに可愛いものね、この子。それで目つけられたんだ」
「だと思います」
当の本人はきょとんとしてっけど、この辺じゃどうもこの手の話、ありきたりらしい。
「よく気が付いて逃げ出したねー。偉い偉い」
「偉いってか……見てたら分かりますって」
なんかこの人、ちと調子狂う。




