表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/182

Episode:02

「何やってんだ?」

「あ、うん。ほら前、この船でウィンが……」

 この間は船に乗ったら、あの子が何故か紛れ込んでいて、大騒ぎだった。

 イマドが笑い出す。


「そーいやそうだったな。けどまぁ、今回は俺らだけだろ」

「うん」

 答えながら、なんだか急にどきどきしてきた。


 ――どうしよう。


 今までだって何度も2人でケンディクへ来てるし、任務なんかもこなしてる。けどいつだって平気だった。

 それとも、「遠出」だからだろうか?

 でもそれなら、シーモアたちを追いかけた時だって、最初は2人だけだったし……。


「ほら、ともかく乗るぞ」

 自分でも良く分からなくて悩んでたら、イマドから急かされた。

「あ、うん、ごめん」

 急いでゲートを通って船に乗って、割り当ての部屋へ向かう。


「……相変わらずあの執事、いい部屋取るなぁ」

「そぉ?」

 客船ってこんなものだと思うけど、違ったんだろうか?


「えっと、部屋……変える?」

 心配になって訊くと、またイマドが笑い出した。

「いいって。つか変えんな。せっかくいい部屋なんだし」

 そう言われてほっとする。別にこの部屋で、問題はないらしい。


「あー、やっぱ高級品だなー」

 ベッドの上にダイビングしながら、イマドが言った。身体が大きいから、壊れないかちょっと心配だ。

「てか、悪りぃな」

 しばらくごろごろと転がった後、彼が起き上がって、急にまじめな顔になる。


「えっと……なにが?」

「んー、なんてかな。タカるみてぇでさ」

 たかるって何だったろう……としばらく考えて、思い出した。たしか他人のお金をアテにして、出してもらうことだ。

 けどこの場合、違うんじゃないだろうか?


「その、だって、変えたの……こっちだし」

 何しろイマドの叔父さん、あたしの旅費も出すって言ってたのだから。けど話を聞いたドワルディ、何をどうやってどう話したのか分からないけど、うちが旅費を持つようにしてしまった。

 で、予約されてたのがこの部屋だ。たぶんあたしに、気を遣ってくれたんだろう。


「だからその、気にしないで……」

 こんなことでイマドが気を悪くしたら、どうしよう? そればっかりが心配だ。

 そんなあたしに、彼が軽い調子で言った。


「んじゃ、目いっぱい世話になるわ。いい物食えるチャンスとか、滅多にないし」

「あ、うん、そうして」

 そのほうがあたしも気楽だ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ