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173/182

Episode:173

 お姉さんが、そうだとばかりに頷いた。

「ま、そうは言ってもあんなことがあった後だからね。町は歩けたもんじゃない。町守ってるアヴァン軍と、狙ってるロデスティオ軍とで小競り合いさ」

「んじゃ当分は、家戻れねぇじゃん」

 イマドの言葉を、お姉さんも肯定する。


「ああ。ただどの家も抜け道あるからね。昼間こっそり戻っちゃ、何か取ってきたり罠仕掛けたりしてるよ」

 ホントにルアノンの町、この手の話を聞くたび感心するしかない。今回も被害は最小限と言っていいだろうし、この先も当分は人的被害は無くて済みそうだ。

 他の町も、こういうのを見習ってくれるといいのだけど……。


「あ、ここに居た。ヘイゼル姉さーん」

 つい考え込んでしまったところへ、また別の声がかかる。


「もう行っちゃったら、どうしようかと思った」

「あんたが遅いんだよ」

 駆けてきたのは三姉妹の一番下、ユーニスさんだ。


「だって新聞社行ったら、ちょっと知り合いに引き止められちゃって」

 仕事をしてきたらしい。

「待てよユーニス姉、新聞社って何しに行った」

 そのお姉さんへ、イマドが硬い声で言った。怒ってるみたいだ。


「何しにって、そりゃ仕事」

「ウソつけ。仕事は仕事でも、ルアノンのこと売り込みに行ったんだろ。――俺らのことダシにして」

 言った内容にはっとする。イマドが言ってるのはつまり、この間断った「あたしたちの脱出の様子を新聞なんかに出して、世論の支持を集める」という話だ。


「どうせ約束なんて守りゃしねーと思ってたけど、やっぱりかよ」

「ちょっと待って待って、あたしもそこまでしてないってば!」

 ユーニスさんが叫ぶ。


「そりゃね、話は出したよ? けど名前伏せてるし、どこの誰かも分からないようにしてるから。〝子どもが脱出〟って話だけ!」

「ホントかよ」

 イマド、昔なんかあったんだろうか? ユーニスさんの言う事全く信じない。


「もう、これだけは信じてよ。あたしだってこの間言われて、ちょっと反省したの。しっかり考えないと、やられたほうはたまんないんだなって……」

 言ってるうちに尻すぼみになるお姉さん、ちょっと可愛い。何だか小さい子みたいだ。


「ホント言うとスクープすっごく欲しいけど……でも全部出しちゃダメかなって……だからずいぶん考えて、妥協したんだから!」

「いい年こいて、今更ンなこと気づくなよ」

 間髪入れずにイマドがこき下ろして、お姉さんがしょぼんと肩を落とした。これじゃどっちが年上か分からない。




◇お詫び◇

当初172話の内容が、173話としても投稿されていました。どうやらエラーがあった際に、二重投稿になってしまったようです。

1話だけの削除が上手く出来ませんので、本物の173話は、修正と言う形でupさせていただきました。

そのため投稿日が1日ずれていますが、ご了承ください



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