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Episode:16

「ともかく、くまなく回れればいいんだな。じゃぁ、この見回りルートだ」

 船を預かってるだけあって、そういう効率いいパターンは、熟知してるんだろう。船長さんが確かな足取りで歩いてく。


 後ろをついていくイマドは、平気そうだった。この階には、魔方陣はないらしい。

 さらに次々と階を降りていって……普段は入れない船底のほうまで行ったけど、イマドは平然としてた。


「……ないの?」

「いまんとこねぇな。てか、あれば分かるし」

 断定はできないけど、爆破用の魔方陣は、あれひとつだった感じだ。


「それだといいんだが。ただ、客室に無いのが分かっただけでも、ありがたいよ」

 船長さんが言う。


「機関部なんかは、自分たちで調べられる。けど客室は、まさか入って捜索するわけに行かないからね」

「あー、たしかに」

 イマドの相槌に、あたしも同感だった。部屋からお客さんを追い出して家捜しなんて、どう考えてもムリだろう。下手をしたら賠償金ものだ。


「あと残りは、推進器周りだな」

「げ、そこは勘弁してください」

 船長さんの何気ない言葉に、イマドが悲鳴をあげる。


「俺、魔力とか分かるから逆に、そゆ場所ダメなんです。つか、マジ倒れるんで」

 行ってもないうちからイマド、もう及び腰だ。よっぽどイヤなんだろう。


「そここそ見てもらいたかったんだが……それじゃ仕方が無いな。私たちで探すよ」

「すんません、お願いします」

 そんな話を聞きながら、たぶん推進器周辺にも魔方陣、無いんじゃないかなと思う。


 推進器ったら、船の心臓部だ。だから常にたくさんの人がいる。船が停泊してる間だって、たしかいろんな人がメンテナンスとかしてるはずだ。

 そんな場所へ関係ない人が入って、魔方陣を仕掛けられるとは思えなかった。


 ――内部の人だったら、出来るだろうけど。


 けどそれも、空いてる客室なんかならまだともかく……人の多い場所は厳しいだろう。

 仕掛け方も、手っ取り早く出来上がってる魔方陣を置いただけで、けっこう杜撰だ。この辺を考え合わせても、仕掛けたのは素人か、それに近い人じゃないかって気がした。


 まぁもちろん、そう見せかけたプロってこともあるだろうけど……。でもこの場合、そんな偽装をする必要性が、どこにも見当たらない。

 そのことを言うと、船長さんがほっと胸を撫で下ろした。


「あ、でもその、絶対そうってわけじゃ……」

「けどそれでも、ずいぶん気が楽だよ。チェックするところが限られるしね」

 船長さん、蒼白だった顔がずいぶん良くなってる。





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