Episode:13
少しして、足音が聞こえてきた。けどなんでだろう、ずいぶん大人数だ。
ドアを開けると船長さんはじめ、何人かの男の人が入ってくる。
「魔方陣が見つかったって言うのは、本当かね?!」
青ざめた顔で、船長さんが言った。
「ホントですよ。そのベッドの下に、あります」
イマドの言葉に、みんなが覗き込んだ。
「これか……」
「あ、触っちゃダメっすよ? 無力化してあるけど、やっぱ危ないですし」
触ろうとした人に、イマドがすかさず釘を刺す。
「あ、すまん。って、無力化?!」
船員さん――服装からして、たぶんそうだろう――のひとりが、素っ頓狂な声をあげた。
「これを、無力化したのか? キミたちが?」
「はい」
きっと、信じられないんだろう。
でも仕方ない気はした。あたしたちだって、見ず知らずの人にそんなこと言われても、ぜったい信じない。
「俺らいちおう、シエラの生徒なんで。このくらいは」
イマドが平然と言った嘘を訂正しようとして――やっぱりやめる。あたしたちがシエラの本校生で、なのにどこかの会社通して脅しがあって、実は習ってないけど無力化の手順を知ってて、しかもイマドが特殊だから魔方陣を見つけられて……とか、分かってもらうのは無理そうだ。
「もう、大丈夫なんだね?」
「はい、大丈夫です」
念を押してきた船長さんに、答える。
それにしても船長さん、どうしたんだろう? やけに顔色が悪い。
「……あの」
さすがに気になって、思い切って訊いてみる。
「船長さん、その、何か……あったんですか?」
「うん? ああ。何かと言うか、話がね」
言いづらいことなのか、やけに歯切れが悪い。
それから少しためらって、意を決した風に船長さんが口を開いた。
「シエラの子なら、言ってもいいかもしれないな。魔法陣も見つけてくれたし」
ちょっとだけ言い訳めいたことを言ってから、続ける。
「実は最近、ワサールの政情がひどく不安定でね。それでテロに警戒するよう、さっき通達が来たばかりなんだ」
思わずイマドと顔を見合わせる。こんなことになってるだなんて、まったく知らなかった。
「正直、この船が標的になるなんて、思ってもみなかったんだが。でもこんなものが見つかった以上、厳しく警戒しないと」
今から警戒しても、ちょっと遅いんじゃないだろうか……と思ったけど、言わなかった。
警戒は、しないよりはしたほうがいい。なのにおかしなことを言って、気を悪くして警戒しない事態になったら、本末転倒だ。




