ep3 プロローグ
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第一話 赤いペンキ事件【推し推しご当地アイドル~神咲萌環の事件簿】(上記URL)の続編になります
私の名は、佐藤愛理。
警察官だ。
勤務先は、西村山交番。
少し特殊な交番で、朝9時から夜21時までの、12時間体制の交番である。
そうして、もう一つの特殊な事情・・・
「あ~っ、私の大福ぅぅぅぅ。」
デスクの上のいちご大福をノラ猫に奪い取られ、間延びした悲鳴を上げたのは、ゆるふわちゃんこと神咲萌環。
去年までは、女子高生。
西村山の人気ご当地アイドルであったため、この交番に配属された新人婦警だ。
面倒な相談者からは逃げ、書類仕事からは逃げる。
そして、仕事中に、すぐにサボってお買い物。
かといって、役立たずか?と聞かれれば、そうではない。
むしろ優秀な警察官ではないか?と思わせる片鱗を見せることすらある。
しかし、西村山交番に優秀な警察官は、必要がない。
事件の起きない、中心部から外れた街の交番だからである。
仕事と言えば、道案内、巡回連絡・・・そして、高齢者の愚痴を聞くこと。
だったのだが・・・
そんな暇なはずの西村山交番に、またもや事件が舞い込んできた。
「あぁ、私の大福ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。」
「う・・・うるさいっ!」